最大20Mbps? イー・アクセスのADSL高速化計画

イー・アクセスが8Mbpsを超えるADSLサービスの概要を明らかにした。VDSLの技術を採用し,最大20bpsまでのラインアップを設ける。

【国内記事】 2002年5月8日更新

 イー・アクセスは5月8日,今秋にも開始する8Mbps超ADSLサービスの概要を明らかにした。最大10Mbpsのメニューを皮切りに,最大12Mbps/16Mbps/20Mbpsのラインアップを設ける計画。ただし,いずれもNTT収容局から1.5キロ以内のユーザーを対象とした“プレミアサービス”になる見込みだ。

 高速化は,複数の技術を組み合わせて実現する。搬送波(bin)を最適化するアルゴリズム(効率的な伝送を可能にする),エラー発生時にもリンクを保持する技術,さらにはNTT局舎内での干渉を抑える措置など。この場合は,ADSLモデムのファームウェアアップデートだけで利用できる可能性が高い。

 さらなる高速化には,ADSLよりも広い周波数帯域を使うVDSL技術を利用する。現在のADSLは,26KHz〜1.1MHzの周波数帯域の中で,4KHzおきに計255本(理論値)の搬送波を作り出すが,同社CTOの小畑至弘氏は「回線状況の良い場合は,2MHz程度まで拡大できるだろう」と予測している。

 この場合,理論的には約490の搬送波を利用できるため,増えた分をすべて下り方向に割り当てると,それだけで10Mbpsを超える。

 さらに,アッカ・ネットワークスの「S=1/2」(仮称)技術と同様,エラー訂正のリードソロモン符号化に使うDMTシンボル数(=S)削減も合わせて行う。「16Mbps以上のサービスでは,DMTシンボル数は3分の1にする必要がある」(小畑氏)。アッカよりもエラー訂正を“雑”にして,回線速度をさらに高める試みだ。

 しかし,高い周波数帯は減衰しやすいうえ,エラー訂正が簡略化されるため,条件がよりシビアになることは間違いない。小畑氏は,「最大20Mbpsサービスの恩恵を受けることができるのは,NTT収容局から“道なり”で500メートルまで」と話している。

 イー・アクセスでは,8月には8Mbps超サービスの試験サービスを開始し,アッカが年内にも投入する「拡張版Annex C」より,一足早く実用化にこぎ着けたい考え。問題は,ユーザーが適切なメニューを選択するための手段だが,同社では既存の線路距離長判定ツールより正確な情報を提供するため,各ISPと協議を進めているという。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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