ニュース 2002年5月30日 02:31 AM 更新

著作権管理で、P2Pは生まれ変わる――CRL

いまだ、Napsterの亡霊に悩まされるP2P業界。コグニティブリサーチラボはその呪縛を解くべく、著作権管理技術を導入した新しいP2Pネットワークを考えている

 P2Pの利点は、サーバを介さずにファイルをやりとりして、ネットワーク上のボトルネックを解消できるところ。ところがこれまでは、ファイル交換の自由度の高さが災いして、コンテンツプロバイダ(CP)側がファイルの移動を把握しきれない面があった。これが「ユーザーがCPの課金をすりぬけてコンテンツを視聴する」という事態につながり、多くの議論をよんだ。この問題を解決する技術があるという。

 コグニティブリサーチラボ(CRL)が開発する「DRM-MP3」は、P2Pの長所である「サーバを介さずにユーザー同士でファイル交換できる」部分を残しつつ、ファイルの移動を管理できるようにする技術。これにより、事業者が著作権を保護しつつP2Pのネットワークを構築し、商用サービスを展開できる。

音楽を再生時に初めて課金

 同技術を採用したシステムが現在、DRM-MP3のプロモーションサイト「アオヤマコム」上で稼動している。まずは、利用時の手順を確認しよう。

 ユーザーはあらかじめ、DRM-MP3方式に対応した専用の再生プレーヤーをダウンロードする必要がある。その上で、DRM-MP3準拠のコンテンツを、適当なサイトなり友人なりから取得してくる。この時点では、まだ料金は発生しない。


CRLが開発した専用プレーヤー(クリックで拡大)

 料金が発生するのは、実際にそのコンテンツを視聴しようとした時。その際、ユーザーIDとパスワードが求められ、正しく入力しなければ楽曲が再生されない。ユーザーはアオヤマコム上に開設した口座に料金を先払いし、そこで取得したIDとパスワードを入力することで、初めて音楽全体を試聴できるわけだ。なお、パスワードなどが未入力の場合は、20秒の試聴の後、再生が止まる仕様になっている。

 いわばダウンロード課金でなく、利用ごとに課金する仕組み。CRLは一度の視聴につき5円といったように、少額ずつ徴収していくモデルを想定しているようだ。アオヤマコムのシステムでは現在、MP3の音楽ファイルのみを扱っているが、動画ファイルにもすぐに対応できるという。

P2Pに向いているワケ

 DRM-MP3のポイントは、コンテンツをカプセル化しており(拡張子.ccfファイル)、解凍するには別途、サーバに要求をかけてユーザーカギをダウンロードするところ(*)。このカギはIDとパスワードの入力を確認した後に、動的に生成される。このため、仮にピア同士でファイルを交換し合っても、ユーザー1がダウンロードしたファイルをユーザー2がそのまま再生・視聴することはできない。

 ユーザーカギをダウンロードする際は、数Kbpsの帯域しか使わずにすむ。このため、大きなファイルサイズのccfファイルはP2Pにより自由に流通させておき、課金に利用するユーザーカギはサーバで集中管理できる。この点が、P2Pを活かしつつ事業者の管理を実現するとされるゆえんだ。

 コグニティブリサーチラボの苫米地英人社長は、このままブロードバンド化が進むと、現在のクライアント・サーバモデルではすぐに限界がくると話す。

 「ネットワークを構築している側は、WDMの技術を用いればテラビットサイズのネットワーク容量が確保できる、それで十分だとしている。しかし、実際にはすぐ、ペタビットサイズのオーダーが求められる時代になるだろう」(同)。

 こうなると、既存のモデルではどうしても限界がくる。P2Pのネットワークを構築して負荷を分散していかないと、いずれ破綻するとした。

 「現在はまだその段階にないが、いずれ必要になること。DRM-MP3の技術は大手メーカーからの問い合わせもきており、いずれライセンス提供していければと思っている」。

*厳密にいうと“カギ”ではないが、ここでは便宜上、カギのようなものとして扱っている

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[杉浦正武, ITmedia]

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