ニュース 2002年10月7日 11:49 PM 更新

“ライフライン”を目指すIP電話、J-COMが試験サービスへ

ジュピターテレコムは、千葉県浦安市でCATVネットワークを使ったIP電話の実証実験を開始する。加入者電話に使っている電話番号を引き続き利用できるようにするほか、緊急電話番号にも対応させる計画

 ジュピターテレコムは10月7日、千葉県浦安市でCATVネットワークを使ったIP電話の実証実験を行うと発表した。着信電話番号や緊急電話への対応といったIP電話の問題点を解消し、固定電話と同様の使い勝手を目指すのが目的。これにより、加入者電話をリプレースすることもできる“ライフライン”に育てたい考えだ。

 通話料金の安さから普及が見込まれているIP電話だが、加入者電話を置き換えるには、まだ足りない部分が多い。音質の向上や遅延の解消にくわえ、着信電話番号、「110」「119」といった緊急電話番号への対応などだ。

 J-COMでは、まず、QoSを実装したDOCSIS1.1仕様のケーブルモデムを採用。これにより、音質の低下や遅延を防ぐ。

番号ポータビリティをIP電話に適用

 着信番号は、加入者電話に使っていたものを引き続き利用できるようにする。総務省は、IP電話専用の着信番号として「050」で始まる11桁の電話番号を付与する計画だが、J-COMはこれを申請していない。着信はできても、移行時の番号変更が避けられないためだ。

 一方、同社は回線交換方式の独自電話サービス「J-COM Phone」で、NTT東西地域会社が2001年春に導入した「番号ポータビリティサービス」を提供している。番号ポータビリティは、NTTの中継交換機と事業者の交換機を接続し、番号によってルーティングする仕組み。ユーザーは、それまでの加入者電話番号を継続して利用できる。

 「これをIP電話に適用するのが、実験テーマの1つだ」(同社)。

 既に回線交換の電話事業を持っている同社だからこそ可能になるサービスだが、番号ポータビリティの後でIP網と接続する例はまだない。ユーザーメリットにつながるサービスだけに、今後の動向に注目が集まりそうだ。

すべての携帯キャリアに接続

 このほか、J-COMでは携帯電話や緊急電話番号への対応も進める。新電電はもちろん、すべての携帯電話キャリア・PHSキャリアとの相互接続を検証する予定だ。また、緊急電話番号への対応に関しては「技術的な情報は公表できないが、警察や消防との協力によって実現する」と説明している。

 実験期間は、11月1日から2003年1月末までの3カ月間。千葉県浦安市をサービスエリアとするスーパーネットワークユー(J-COM Broadband 浦安)エリア内の100世帯を対象として、運用面を含めた検証を行う。

 モニターは、当該エリア内の新規・既存ユーザーから募る予定だ。なお、モニターの初期導入費用(工事費含む)や実験期間中の通話料は、すべてJ-COM側が負担するという。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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