ニュース 2002年12月4日 09:41 PM 更新

PC不要のPCゲーム?

ブロードバンドの普及は、PCそのものを不要にするかも知れない。メディア・クルーズ・ソリューションの「G-cluster」は、TVにつなぐセットトップボックスでPC用のゲームソフトをプレイできるシステムだ

 PCゲームといえばPCで動作するもの。そんな常識が崩れる日が近いのかもしれない。SGIからスピンアウトしたメディア・クルーズ・ソリューションは、ブロードバンドサービスの動画配信用セットトップボックス(STB)を使ってPCゲームをプレイできる「G-cluster」の国内販売を開始した。


「Internet World Asia 2002/Streaming Media Asia 2002」の会場で行われたデモンストレーションでは、1.5MbpsのMPEG-1動画(CIFサイズ、30fps)でアクションゲームをプレイしていた。STBはKreatel Communications製。操作はゲームパッドで行う

 G-clusterの原理は、PCユーザーには馴染みの深いものだ。といってもエミュレーターではない。PCサーバ上でゲームを動作させ、その画面だけをMPEG-1/2動画にリアルタイムエンコードして配信する、いわばゲーム版ThinClientソリューション。重い処理はすべてサーバが担当するため、STBには動画のデコードができるスペックさえあれば良い。ブロードバンドサービスと組み合わせれば、家庭の大画面テレビでPCゲームを楽しむことができる。


G-clusterの仕組み(G-Clusterのサイト資料より)

 PCゲームの場合、画質の向上に伴い、要求されるスペックも上がっていくのが普通だ。グラフィックが綺麗になるのは歓迎だが、そのたびに追加投資を求められるのは辛いところ。また、グラフィックチップに依存するゲームも多く、コンシューマーゲーム機と比べると敷居が高いのも事実だ。

 しかし、G-Clusterを導入したブロードバンドサービスであれば、チップに依存するゲームはサーバ側が対応するだけでいい。エンドユーザーは、テレビの画面でゲームを選択し、STBに接続したゲームパッドを操作するだけ。感覚としては、コンシューマーゲーム機と変わらない。


デモシステムは、ノートPCをサーバにしてゲームの動作とMPEG-1エンコードを1台で行っていた。高画質の3DアクションゲームとMPEG-2配信ではサーバにもそれなりのスペックが求められるが、G-Clusterは名前の通りクラスタリングもサポートしている

 ただし、ゲームの種類や画質によって求められる帯域幅が変わるため、ADSLが主流の現在は「アクションゲームよりもシミュレーションなど動きの少ないものが適している」(同社ビジネス推進部の石井繁氏)。逆に、FTTHなど超高速インターネットであれば、3Dのアクションゲームにも対応できるはず。サービスを提供する事業者が現れれば、魅力的なブロードバンドアプリケーションになると同時にPCゲームの市場を広げる可能性もあるだろう。

 メディア・クルーズでは現在、ISPや回線事業者を対象にG-Clusterシステムの販売交渉を行っているという。「G-Cluster自体は既に出荷できる状態で、STBも2機種は動作を確認している。ユーザー認証や課金システム、そしてゲームソフトのライセンス契約をクリアすれば、サービスは可能になる」(同氏)。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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