リビング+:特集 2003/02/08 18:07:00 更新

特集:ホームネットワークで手軽にファイル共有〜NASを使おう
低価格NAS3製品はどこが違う?

特集で取り上げた3製品は、「量販店で購入できる」「外付けHDD+α程度の価格」という条件でチョイスした。しかし、3つの製品にははっきりとした個性があり、用途を考えて選択することが重要だ。最終回は、パフォーマンスチェックを含め、3製品の違いを解説していく
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 左から、ロジテック「NetPocket」アイ・オー・データ機器「LANDISK」メルコ「LinkStation」。今回は、いずれも120Gバイト容量の製品で比較した

 今回の特集では、量販店の店頭で販売され、また従来の外付けHDD+α程度の価格で購入できる3つの製品をチョイスした。ではいったいどこが異なり、どのような用途に向くのだろうか。

 3製品の中では、ロジテックの「NetPocket」が少し大柄だが、設置スペースという点では大差がない。また、アイ・オー・データ機器の「LANDISK」は、旧モデルで指摘されていたコンセントの必要数(従来は2つ)が、新モデルでは1つになった。よほど狭いところに押し込めようとしない限り、どの製品も設置に困ることはないだろう。

 ただし、消費電力の開きは結構ある。もっとも消費電力の小さなLANDISKに対して、NetPocketはほぼ倍。もちろん、そのNetPocketですら24Wと非常に低い消費電力なのだが、24時間365日稼動が前提となれば気になる点ではあるだろう。また、LANDISKは待機時(HDD回転停止時)には4.5Wと群を抜いた低消費電力となる。オフィスユースならともかく、家庭で利用する場合には気に留めておきたい。

 また、既に個々の製品レビューでも触れているが、動作音の違いも結構大きい。もちろん、きちんと内部のHDDを冷却するという点は重要なのだが、LinkStationの動作音が目立ったのは事実だ。

 NASの基本スペックといえる同時最大接続数を気にするのは、Macユーザーだろう。LinkStationとLANDISKはMacは最大5台となっており、家庭はともかく、デザインスタジオなどでMacを大量に使う環境では少々キツイ制限となろう。実際にアクセスするかどうかはともかく、常時NASのドライブをマウントしておきたいのは事実だからだ。

 また、WindowsとMac OSのファイル共有時には、いずれもファイル名の制限が生じる。いずれも31文字までの半角英数字(1バイト文字)のみ。それぞれのOSでファイル名の扱いに差異があるので仕方ないとは思うが、完全にシームレスとはいかないようだ。

 ユーザーやグループごとのアクセス制御に関しては、NetPocketが秀でている。上位製品となるNASと共通部分の多いファームウェアを採用していることもあり、ユーザーごとに使用可能な容量を制限したり、リードオンリーのアクセス権を与えられるのはNetPocketのみ。スタンドアロンでFTPサーバとなるのも非常に便利だ。

 ハードウェアリセットスイッチは諸刃の剣だ。LinkStationとLANDISKはこれを備えており、HDDの内容はそのままに、設定のみを初期化できる。つまり、あるユーザーが初期設定を知っていれば、リセットして管理者権限でアクセスすることも可能になってしまう。結果的に内部のファイル全てにアクセスできる。オフィスなどで、本当に重要なデータを保存する場合は十分な注意が必要だ。

 反面、家庭ではこういったハードウェアリセット操作ができないと困る場合も多いだろう。何らかの理由でNASにアクセスできなくなった場合には、セキュリティよりもファイルにアクセスできることの方が重要になるかもしれない。この点も、購入時には考慮しておきたい。

パフォーマンスは異なるのか

 今回取り上げた製品は、全て接続インタフェースが100Mbps LANだ。現在では内部のHDD側の性能が追いつかないことはまずない。しかし、NASはUSBやIEEE1394接続のHDDとは異なり、内部でファイル管理を行っている。このため、インタフェース性能とHDD性能だけでは測れない要素が多いのだ。

 ここでは、2台のPCと3台のNASで閉じたLAN環境を構築し、いくつかの方法でパフォーマンスをチェックしてみた。中心に利用したのはAthlon XP 2000+のPCで、補助としてDuron 1GHzのPCを利用している。

 まずは「Sandra2003」を用い、FileSystem BenchMarkを実行してみた。本来はNAS向けのベンチマークではないのだが、基本性能を測るために利用している。

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 ここで概ね高い数字を記録したのはLinkStation。NetPocketが僅差で、LANDISKはかなり苦しいスコアだ。シーケンシャルリードではLinkStationとNetPocketは9Mバイト/秒と100Mbps LANでは概ね限界に近い転送速度を記録している。

 次に、1ファイルで200Mバイト、約1000ファイルで200Mバイトのファイル群を準備し、それぞれPCからNAS(Write)、NASからPC(Read)へのファイルコピー速度を計測した。NASに関しては計測するたびに再起動を行い、NAS内部のキャッシュの影響を排除している。

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 ここでは、NetPocketが好成績を残した。LanStationが10〜20%遅く、LANDISKはここでもちょっと振るわない。

 次に、各製品に5Mbpsで記録したMPEG2ファイルをコピーし、これをDuron 1GHzのPCで再生しながらAthlonXP2000+のPCで同様にファイルコピー速度を計測した。この位ならば家庭利用でもありえるパターンだ。

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 ここでも傾向は変わらず、NetPocketが好成績を収めた。またインタフェースの速度に対してHDD側の能力に余裕があるためか、ファイルコピーのみを行った場合と比較しても、ファイル転送速度の低下は思ったより大きくなかった。

価格、動作音、パフォーマンスの密接な関係

 あくまで現時点での話だが、結局、他の2製品と比較すると少々高価なNetPocketがもっとも良好なパフォーマンスを示した。この製品は、“ほぼPC”といえるVIA C3ベースのプラットフォームを採用しており、これがサイズや(おそらく)価格にも反映されているが、内部処理能力の高さがそのままパフォーマンスに現れたといえるだろう。

 価格面でかなり近いのがLinkStationとLANDISKだが、LANDISKはパフォーマンスでは振るわなかった反面、静音性は格段に高い。静音性が高いからパフォーマンスが振るわないという訳ではないだろうが、結果的に動作音とパフォーマンスが反比例しているのは、そのままPCの世界を代弁しているようだ。

 結局、3つの製品にははっきりとした個性があり、どの製品が「ベストバイ」とはいいがたい。オフィスユースなら多少高価でも多機能で高性能なNetPocketが便利だろうし、とにかく静かな製品がいいならLANDISK、家庭利用でパフォーマンス重視ならLinkStationといった位置付けになるだろう。

 1つだけいえることは、製品固有の問題ではなく、100Mbpsイーサネットで接続する限り、読み書き速度の限界は見えていること。単に外付けHDDが欲しいのならば、USB 2.0やIEEE 1394接続の製品のほうがずっと高速かつ安価だ。NASは確かに便利だが、ギガ単位の動画ファイルを編集などで頻繁に読み書きする用途には向かない。こういった点は、きちんと把握しておく必要があるだろう。

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▼第3回:アルミボディでファンレス、静音化を実現した「LANDISK」
▼第2回:オフィスユースにも耐えうる多彩な機能〜“NetPocket”
▼第1回:低価格&導入も容易な“LinkStation”

関連リンク
▼アイ・オー・データ機器
▼ロジテック
▼メルコ

[坪山博貴,ITmedia]



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