レビュー:ホームサーバPCの実力[ソニー編]
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Pentium 4/2.40GHz Giga Pocket Engine搭載 DVD-RWドライブ 17型液晶ディスプレイ 実売価格:30万円前後 |
昨年あたりから、「ホームサーバ」と位置づけられた製品を大手PCメーカー各社が大々的に発売するようになった。ホームサーバと聞いて首を傾げる向きもあるだろうし、賛否を問う以前に、その定義はまだまだ確立されたとはいえない。しかし個人的には、そろそろこういうジャンルの製品がメインストリームに乗ってきても不思議ではないし、むしろ歓迎し、今後の動向を見守っていきたいと感じている。
富士通やNECでは、カタログなどで以前から特定の機種に対して「ホームサーバ」「ホームPCサーバ」という言葉を使い、ユーザーに訴求していたが、ソニーでは昨年あたりまではそれほど前面には出していなかったように思う。昨年秋に登場した「バイオHS」にしても、HSは「Home Server」ではなく「Home Style」の略ということだった。しかし、この製品が備えている機能は、現在、ホームサーバというジャンルに求められるものと符合していた。現在では幅広いラインアップが用意されており、各モデルによって採用の有無はあるが、テレビ・ビデオサーバとしての機能は同社が長年培っていた「Giga Pocket」ハードウェア/ソフトウェアで提供されるし、「VAIO Media」ソフトウェアで音楽や写真もネットワーク上のほかのPCや「ルームリンク」と共有できる。
そして、ここにきて、ソニーも「もう、バイオがホームサーバー」と、バイオ自体を「ホームサーバ」と謳っている。今回、バイオHSに5GHzワイヤレスLANルータ搭載モデル「PCV-HS91BC7」が追加されたことで、その方向性はより明確に示されたように思える。つまり、HS=ホームサーバではないものの、明確にホームサーバと呼べるモデルもあるというわけだ。このレビューでは3月上旬発売予定の「PCV-HS91BC7(以下、バイオHS91)」を取り上げ、昨年秋に初登場したHSシリーズの特徴をおさらいしつつ、新機能を検証していきたい。
HSシリーズは、L→LXという液晶ディスプレイとの組み合わせを前提とした省スペース型デスクトップの流れを汲む、家庭用スタンダードPCである。さらにエントリーモデルと位置づけられていたJXが、今年の春モデルではラインアップされなかった分をカバーするように、低価格帯への広がりを見せている。店頭販売モデルでは、最小限の装備ながら15型液晶ディスプレイ付属で実売価格16万円程度のPCV-HS21L5が登場。ソニースタイルオリジナルモデルでは、5GHzワイヤレスLANルータ、GigaPocket搭載のPCV-HS31(ディスプレイなし)が149,800円、さらには“なにもなし”のPCV-HS21なら109,800円で買える(いずれも税別)。これなら、かなり手頃だといえるだろう。「自分で買うなら」と考えると、「低価格ホームサーバ」ともいえるPCV-HS31あたりが狙い目か。
さて、バイオHS91を使ってみよう。まずは接続。ディスプレイはPCVD-17SM1が付属しているので、本体へそのDVI/音声/USBのケーブルを接続する(端子は個別になっているが、ケーブルは1本にまとめられている)。このディスプレイにはステレオスピーカー、MOTION EYE(カメラ)、およびUSBハブが内蔵されているためだ。あとは、本体にTVアンテナ、電源ケーブル、ディスプレイにもACアダプタをつなげば動作可能となる。マウスとキーボードは、本体・ディスプレイのどちらのUSBポートにつないでもよい。ネットワークはWANとLANが用意されているので、ADSLモデムあるいはハブなどを適宜接続する。
電源ケーブルを接続すると、いきなり、本体上部中央にある直径2cmほどのVAIOロゴが、20回ほど素早く点滅したあと、10秒間隔程度でゆるやかに点滅する。うちで使用している5GHzワイヤレスLANアクセスポイント「PCWA-A520」の起動時とまったく同じである。つまり、バイオHS91が内蔵している5GHzワイヤレスLANルータ機能は、PC本体が起動していなくても稼動している。いわば、同じ筐体に収められているだけで、単に内部でネットワーク接続されているだけといえる。実際、設定の手順も、単体製品の5GHzワイヤレスLANアクセスポイント「PCWA-A520」などと基本的には変わらない。
ワイヤレスLANの設定は、「内蔵ワイヤレスネットワークの設定」というプログラムファイルを実行して行う。といっても、単にルータのIPアドレスを調べて、Webブラウザで開いてくれるだけなので、割り当てられているIPアドレスがわかれば、自分で「http://ルータのIPアドレス」をWebブラウザで呼び出してもいいはずだ(もちろん、ネットワーク上のほかのマシンからでも)。
設定メニューには、「ワイヤレスネットワークの状態」「ワイヤレスネットワークの設定」「ファームウェアのアップデート」があり、さらに「ワイヤレスネットワークの設定」は「おまかせ設定」「詳細設定」に分かれている。ルータはNATルータモードのほか、ブリッジモードでも使用可能だが、その場合は「おまかせ設定」は利用できない。また、ここでインジケータ/ワイヤレスアクセスのon/offも切り替えられる。本体上部の点滅が気になるなら、インジケータをoffにすればインジケータライトは消える。
気になる通信範囲は、本体内蔵ということでダイバーシティアンテナを採用しており、カードタイプのアダプタよりは有利かと思われる。しかし、単体アクセスポイント「PCWA-A520」(ブリッジタイプ)と自宅2階のほぼ同じ位置に置いて1階からアクセスして比べてみた場合、そちらを超えるような信号レベルまでは見られなかった。厳密な試験を行ったわけではないが、せいぜい、あまり差はないという程度か。だとすると、ケーブルが届くかぎり自由に置き場所を選べる単体アクセスポイントのほうが有利には違いない。しかし、本体内蔵型にはネットワークケーブルや電源といった配線に煩わされないという利点がある。特にリビングに置く場合は、見た目のスマートさとともに、この利点が生きてくる。
また、こうしたジャンルの製品の場合、動作音も気になるものだ。バイオHS91では起動時にややノイズが高くなるものの、それ以外はおおむね静かである。エアコンなどほかの機器のノイズにかき消される程度の動作音しかしない。背面の放熱ファンからの排気も非常に緩やかだ。
レビュー バイオHS91 1/3 |
[浅井研二,ITmedia]
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