リビング+:レビュー 2003/04/01 22:14:00 更新

レビュー:ホームAVサーバ
豊富なネットワーク機能を盛り込んだHDDレコーダ、シャープHG-01S(ガリレオ) (1/2)

シャープが「パーソナルサーバー」として世に送り出したHG-01S(ガリレオ)はネットワーク機能つきハードディスクビデオレコーダとしては非常に意欲的な製品といえる。しかし、先進的な機能の裏返しとして、粗削りな面がまだまだ見受けられるのもたしか。あれこれ触っていると面白い点も多いのだが、導入を考える人は望んでいる用途や使用環境を十分に検討すべきではある。ここでは3回に分けて、レビューをお送りする。
ハードディスク120Gバイト
IEEE802.11b準拠無線LAN
地上波/CATVチューナー
録画:MPEG2(VBR)2/4/8Mbps
幅342×奥行き236×高さ85mm、約3.3kg
実売価格:10万円弱
Photo

 この「リビング+」チャンネルでは一連のレビューとして、各社のホームサーバPCを取り上げているが、一方で、ホームAVサーバ(あるいはAVホームサーバ)と呼ぶべき製品もちらほらと世に出ている。つまり、非PCの形態に収められた、たとえばテレビの側に置く家電製品としてのアプローチなのだが、しかし、こちらもホームサーバPC以上につかみづらい分野といえる。

 本来、コアとなるべきはビデオサーバ=ハードディスクビデオレコーダかもしれないが、HDDレコーダにネットワーク接続端子を設ければ、すなわちホームAVサーバなのかというと、そうでもないようだ。また、非PCとはいえ、たいていの場合はLinuxを採用しており、内部的にはPCそのものである。こうした製品の場合、ともすると「家電的な汎用性の低さと、PC的な扱いにくさ」という両者の悪い部分が目立ちかねない。

 ホームAVサーバという製品ジャンルが、今後どのように固められていくかは、まだ見えてこないが、いずれにせよ、どういう用途を想定し、どんな機能を搭載させるか、いかに家電とPCの良い部分を取り込めるか、そこがメーカー各社の工夫のしどころとなるに違いない。

ブロードバンドルータ+無線LAN+マルチメディアファイルサーバ=ガリレオ?

 シャープが「パーソナルサーバー」として発売したHG-01S(愛称:ガリレオ)も、一見すると、単にハードディスクビデオレコーダをコアにネットワーク接続機能を搭載させた製品のようだ。しかし、実際には以前、本田氏が連載で紹介した富士通の「ファミリーネットワークステーション」に似た製品で、最も近いのは日本電算機の「iBOXブロードメディアサーバ」といえる。つまり、真の意味で「コア」となるのはブロードバンドルータ機能。これらの製品に共通するのは、ルータとマルチメディアファイルサーバが一製品の中に同居するからこそ、実現されている用途が多数あるということだ。

 実は今回のレビューでは、通常のようにメーカーから製品貸出を受けたのではなく、実際に買ってみたのだが、使い始めた時点では設置や使用上の制限、メニュー操作におけるレスポンスの遅さに気をそがれ、「ああ、普通のハードディスクビデオレコーダ買ったほうがよかったかな……。10万円以下というのは機能を考えれば高くはないけど、HDD+DVDレコーダも買える価格だし」と若干後悔の念を抱いたものだ。そもそも、わが家ではすでにバイオのGigaPocketで、EPGによるハードディスクへのテレビ番組録画、ネットワーク内のPCからのテレビ放送や録画済み番組の視聴は実現されているのだし。

 しかし、使い続けているうちに、その考えは少し変化しつつある。実際、HG-01Sは「万人が満足できる製品」とはいえないと感じられるが、ユーザーが要求している用途や、設置される環境さえ合致すれば、ユニークかつ実用的な機能を提供してくれるし、なにより今後の発展が楽しみな存在だ(ただし、残念なことに、動作の不具合らしき障害にも遭遇しており、それがアップデートなどで修正されないとすべて台なしなのだが……。具体的には、2時間番組を予約していたのに21分で録画が終了してしまった。発生したのは1件だけで、ほかの予約録画はすべて成功している。再度確認できないと何か操作上の不手際なのかバグなのか判断しかねるのだが……第1回目のソフトウェアバージョンアップでこの不具合は修正済み(2003/04/23))。

Photo

本体前面には電源ボタン、操作ボタン類のほか、LAN・WAN・録画・電源の状態表示ランプが配置されている。また、MPEG4ファイルをメモリカードへ記録するためのPCカードスロット(TypeII)やチャイルドロック(本体のボタンで操作できないようにするだけだが)もある

テレビの側に置くべきだが、WANへの接続も必要

 HG-01Sの本体サイズはコンパクトにまとまっている。形状はシャープの1ビットアンプ「SM-SX100/200」を思わせる台形だが、実は箱型の側面に三角形のスタンドがつけられているだけで、スタンドを取り外せば縦置きも可能だ。それほど大きくなく、しかも縦置きでもよいのだから、設置場所は選ばない。はずなのだが、ここで懸案となるのが、前述の「設置の制限」だ。ブロードバンドルータとして利用するために、ADSLモデムなどをWAN端子側に接続しなくてはならない。

photo 縦置き用のスタンドは別途付属している。前面中央のロゴエンブレムもそれに合わせて回転可能

 それ以前に、もし現在ルータ内蔵型モデム、あるいは別のブロードバンドルータを使用しているなら(この製品を購入するユーザー層はほとんどそうだと思うが)、そちらをブリッジモードにするなり、取り外して置き換える必要がある。そうしなければ、外部からのアクセスを含め、この製品の機能を100%活かしきれない。うちの場合、1階のリビングに設置したいが、ADSLモデムやルータは2階に置いてある。しかたないので、この際、電話ジャックを1階へと移動させ、同時にその配管を利用してEthernetケーブルを1階から2階へと通してしまった。

 したがって、この製品の導入を考えている際には、利用するテレビの置き場所、および、WAN側に接続する機器の位置を十分に検討したほうがいい。また、ルータや無線LANアクセスポイントとしても動作するので、購入して最もお買い得と感じるのは、現在、ブロードバンドルータや無線LANアクセスポイントの類を所有しておらず、それらの(もちろんHDDレコーダも)導入を考えている人ということになる。

Photo

(左)背面には、アンテナ入出力、映像音声入出力(ピンジャックおよびS映像)、USBポート(1.1)、WANポート、LANポート(ともに100BASE-TX/10BASE-T)
(右)前面の操作ボタン類はカーソルのほか、「メニュー」「機能」「決定」「戻る」「再生」「録画」「選局」などがあり、ひととおりの操作を行えるが、まあ使う機会はあまりないだろう

 HG-01S背面のWAN端子にADSLモデム、LAN端子にハブ等を接続、TVアンテナ、映像・音声入出力などをつなげば設置は完了。電源を投入すると、結構盛大にファンが回り始め、起動に1〜2分を要する。起動してしまえば、ファンの音はそれほど気にならないレベルまで収まる。ハードディスクの動作音はアクセス時に小さくカラカラと聞こえる感じだ。ちなみに、内蔵ハードディスクには120GバイトのMAXTOR DiamondMax 16が採用されていた。電源オンの状態がテレビモードと呼ばれ、通常、動作はテレビモードとルーターモードのどちらかにしておく。この2つのモード間は即座に切り替えられる。テレビモード時にリモコンか本体の電源ボタンを押すと、画面が消えてルーターモードに入るが、ファンは回ったままで、音もかすかながら聞こえる。本体の電源ボタンを5秒以上押せば、すべての動作が止まり、待機モードに入るが、PCからのネットワーク接続もできなくなるので基本的には待機モードにすることはない。

      | 1 2 | 次のページ

[浅井研二,ITmedia]



モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!