リビング+:Weekly Top10 2003/07/07 23:49:00 更新

Living Plus Weekly Top10(6月29日〜7月5日)
P2Pはやっぱり悪者?

ISPのバックボーントラフィック全体に占める「P2Pのファイル共有ソフトが原因と思われるトラフィック」の割合が急速に増大している。そのうえ、ほとんどのトラフィックに関わっているのが、全体から見れば“ごく一部のヘビーユーザー”という。

Living Plus Weekly Top10 6月29日〜7月5日

1位 MPEG-2からMPEG-4、そしてH.264へ
2位 “24Mbps”の広告表示はこのままでいいのか?
3位 AV女優が熱湯CM! プレスパーティは大騒ぎ
4位 「Annex I」のシミュレーション結果とアマチュア無線への干渉対策
5位 FTTH/12Mbps ADSLの実速度はどのくらい?
6位 Javaでデジタル放送が変わる
7位 次世代コミュニケーションデバイス:鍋
8位 20Mbps超 ADSLサービス、8割強が乗り換え望む
9位 IPv6コクーンを参考出展 〜“携帯電話リモコン”対応
10位 t.A.T.uのプロモをネット視聴してみました

 先週、幕張で開催された「Networld+Interop 2003」(N+I)。コンテンツ配信に関わる講演やセミナーをいくつか見てきたのだが、ISPや接続事業者も多く出席するこれらのセッションで、1つの共通した問題が取り上げられた。それは〜P2Pソフトによるファイル交換に関わることだ。

 周知の通り、P2P技術はネットワーク経由でパソコンとパソコンをつなぎ、サーバを介さずにデータをやり取りする技術。技術に善悪の区別はないが、この技術を使ったファイル交換ソフトが著作権問題にかかわる使い方をされているため、とかく悪者扱いされがち。もっとも、今回の論点は著作権ではない。

 高速なアクセス回線サービスが普及するにつれ、ISPや接続事業者のバックボーンを流れるトラフィックが増えてきた。ここまでは当然だが、その中に占める「P2Pと思われる」トラフィックの割合が急速に増大しているのだという。そのうえ、多くのトラフィックに関わっているのが、全体から見れば“ごく一部のヘビーユーザーである”という点が問題視される原因のようだ。

 トラフィックの内訳を明かすISPはないが、目安になりそうなコメントはいくつか出てきた。例えばBIGLOBE事業本部の田島統括マネジャーは、“にっぱち”という表現を使って説明している。にっぱちとは、PCや家電製品の売れ行きが落ちるといわれる2月&8月を示す言葉だが、今回は「2割のユーザーが8割のトラフィックにかかわる」という意味だ。

 また、NTT-BBの桑名氏は、「0.1%のユーザーが99%のトラフィックを発生させる」とした。これも実測値にもとづいた数字というよりはイメージに近い表現だが、いずれにしても「ごく一部のユーザーが多くのトラフィックにかかわる」という状態を表している点は変わらない。

トラフィック従量課金の可能性

 この問題は、将来的にインターネット接続サービスの形態を変えてしまう可能性がある。お隣の韓国では数年前から同様の傾向があり、N+Iの基調講演に登場した韓国通信のJong Lok Yoon氏は、より細かい数字を出してこの問題に触れた。

 「全体の3%のユーザーが全トラフィックの50%に関わっている。(トラフィックを多く発生させる)ユーザーを上から10%に拡大すると、全トラフィックの90%を占める」。

 同氏が挙げた数字は、「P2P type Non-HTTP service」が全体に占める割合を集計した実測値だ。この状況は同社の利益を圧迫しており、「2〜3年先をみて、“使ったトラフィックに応じた従量課金制”も検討していく」という。日本のブロードバンドサービスは韓国の後を追うように発展してきただけに、ユーザーとしては気になる発言だろう。

 とはいえ、いまだ普及の途上にある日本でISPやDSL事業者が同様のアプローチを取ることは、競争力の維持という観点からも難しい。コンテンツ不足が指摘されるブロードバンドサービスのなかで、ファイル交換アプリケーションが新規ユーザーの獲得や乗り換えの原動力になっている点は否定できない。

 そもそも、「従量課金」は「高速・定額・常時接続」をうたうブロードバンドサービスの謳い文句に反する。たとえ多くのユーザーには関係なくても、反発は必至だろう。対応策を尋ねられたBIGLOBEの田島氏は、新しい技術の判断は慎重にするべきとした上で、「当面は様子見」という見解を示したが、この言葉がISP側の微妙な心理を表しているようだ。

[芹澤隆徳,ITmedia]



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