リビング+:レビュー 2003/07/29 01:56:00 更新

「フレッツ・ADSLモアII」速攻レビュー
24Mbps ADSL、その効果は?

回線状態のためか、「フレッツ・ADSLモアII」に切り替えてもスピードアップしなかった事例を紹介。しかし、ちょっとした設定変更でスピードアップする可能性もあるらしい。

 いよいよ各ADSL事業者がオーバー20MbpsのADSLサービスを開始した。筆者も、NTT東日本の12Mbpsサービス「フレッツ・ADSL モア」から、24Mbpsの「フレッツ・ADSL モアII」へ切り換えてみたので、その実力をレポートしよう。

 筆者の場合、1.5Mbps時代の「フレッツ・ADSL」に加入して以来、速度がアップしたサービスが開始される度に契約を切り換えてきた。具体的には、1.5Mbps、8Mbps、12Mbpsと変更し、実測によるフレッツ網との接続速度は、それぞれ1.2Mbps、6Mbps、8Mbpsと推移してきた。スピードテストなどによるPPPoEのオーバヘッドなどを差し引くと、平均値よりも多少速い程度だ。

 最寄りのNTT局と自宅の距離は1480メートル、回線損失は26dBと、条件としては決して良い方ではない。フレッツ・ADSL モアIIでは、回線損失が20dBを境に大きく速度差が出るとの事前情報もあったのだが、今回はダメモトでアップグレードしてみることにした。

 申し込みは、NTT東日本のWebサイトと116番で受け付けている。筆者の場合はWebを使って事前予約申し込みをしたが、間もなくサービス開始の告知があり、さっそく本申込みを行う。工事日は最短の7月24日とした。

 工事前日の23日には24bps対応のADSLモデムが到着した。見た目は、使用中の12Mbps対応ADSLモデムと同じで、型番を確認しないと判別できない。

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フレッツ・ADSLモア IIの24Mbps用ADSLモデム(左)はNEC製の「MN III」、12Mbps用の「MN II」(右)とは型番を確認しないと判別できない。ちなみに中央は4000円のルータ(コレガのBAR SD)だ

 また、12Mbpsのフレッツ・ADSL モアまで、スプリッタは1.5Mbps時代からのものを継続使用する形だったのだが、フレッツ・ADSL モアIIでは、新しいスプリッタが同梱されてきた。従来のスプリッタよりも一回り小型化されているほか、壁面へネジ止めするためのネジ穴がなくなっているので、違いは一目瞭然だ。

 工事の前日にモデムを交換し、フレッツ網への接続を確認してみる。すると、問題なく12Mbpsモデムとして機能した。筆者宅には、当然ブロードバンドルータを用いているのだが、モデム交換による不具合や速度低下は一切見られなかったので、そのままモデムのチェックもすることなく、翌日の工事完了を待った。

接続完了、しかし速度は変わらず

 7月24日、前日の深夜まで執筆をしていたため、遅い朝食をとりながらルータのログをチェックしてみると、10時前後に一度リンクが切れて再接続されていた。これは工事が完了したという印なので、早々に速度チェックを行う。

 しかし、前日から全く変化がない。フレッツ・スクウェアの速度チェックや、インターネット上のスピードテストなども実行してみるが、全く従来と変わっていないのだ。

 これまで使用していた12Mbpsモデムを間違って設置してしまったか? チェックしてみたが、ちゃんと新しい24Mbpsモデムである。そこで、PCとADSLモデムを直結してチェックしてみることにした。フレッツ・ADSLの場合、12Mbpsモデム以降であれば、PCからWebブラウザを使って各種の設定や接続状況の確認ができる。ルータを設置している人の場合は、モデムからルータのWANポートにつながっているケーブルを外し、それをクロスケーブルやアダプタなどを使ってPCに直結すればいい。

 接続状況をチェックしてみると、なんとAnnex Cで接続されている。これでは、従来の12Mbpsモデムと同じ。スピードも変わるはずがない。

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モデムにPCを直結してブラウザからhttp://192.168.116.1/を開き、最初にパスワード設定を行うと設定画面が表示される。メニューの「情報」から「現在の状態」を選択すると、接続されているラインモードや、回線リンク速度がわかる。この画面ではAnnex Cで接続されているのが判別できる(クリックで拡大)

 ただ、接続モードは設定画面から変更できるので、試しに設定を変えてみた。デフォルトの接続モードは「自動認識」だが、強制的にAnnex Iで接続するため、まずここを「自動設定」から「G.dmt固定(近距離)」へ変更する。さらに「設定」ボタンをクリックした後に左のメニューにある「登録」ボタンをクリック。すると、ADSLモデムが再起動した後に、設定したモードで再接続してくれる。

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メニューから「基本設定」を選ぶと、ADSLモデムの「ラインモード」が「自動設定」となっているので、ここを「G.dmt固定(近距離)」へ設定を変更する。更に「最新状態に更新」ボタンをクリックした後、「登録」ボタンをクリック

 再接続されたら、再度「情報」メニューから「現在の状態」を選択。すると、Annex Iで接続されていることが確認できた。筆者の場合、Annex Cの下りリンク速度は8384Kbpsだったが、Annex Iでは8832Kbpsに改善された。その差はわずか448Kbpsであるが、ADSLモデムの設定を変更しただけで、約450Kbps速度がアップできたわけだ。

 ちなみに、上り速度はというと、Annex Cでは1120KbpsであったものがAnnex Iでは1152Kbps。若干ではあるが、こちらもアップしている。

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再度、「情報」から「現在の状態」を選択すると、今度はAnnex Iと表示されて回線リンク速度も若干だがアップした

高いか、安いか? 24Mbpsサービス

 フレッツ・ADSL モアの月額2700円に対して、フレッツ・ADSL モアIIの月額料金は2750円となり、その差額は50円。ただし、ほかに工事費が3050円かかった。今回は450Kbpsの速度アップになったが、これにかかる費用として、安いか、高いか。その判断は人によって異なるだろう。

 24Mbpsサービスは、数字だけをみると速度が倍になるようなイメージもあるのだが、過度の期待は禁物だ。特に、NTTの提供する電話回線の線路情報NTT東日本の場合で回線損失が25dBを超えている場合には期待薄といえる。

 逆に、回線損失が20dBを下回っているのであれば、十分な速度アップも期待できるだろう。フレッツ・ADSL モアII(NTT西日本の場合は、フレッツ・ADSL 24)を申し込む前に、線路情報の確認をお勧めしたい。

 筆者の場合は、「まぁ50円アップならいいか」などと思いつつ、せめて10Mbpsを超えて欲しかったとも考えている。FTTHが引けない環境に住んでいることが、少し恨めしい。

関連記事
▼NTT東も24Mbpsサービス、「フレッツ・ADSL モアII」
▼NTT西も24Mbps ADSL、「フレッツ・ADSL モア24」
▼「Annex I」のシミュレーション結果とアマチュア無線への干渉対策

関連リンク
▼フレッツ・ADSL(NTT東日本)
▼線路情報サービス(NTT東日本)

[清水隆夫,ITmedia]



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