リビング+:コラム 2003/10/10 21:07:00 更新


トレソーラ「復活」で分かった、テレビ局の意識

テレビ番組のブロードバンド配信サービスが、復活を遂げた。コンテンツ業界で“禁忌”とされる分野にも、あえて踏み込むなど、新しい挑戦が目に付く。

 テレビ番組のブロードバンド配信サービスが、復活を遂げた。既報のとおり、トレソーラは2003年12月3日から2004年2月29日にかけてブロードバンド配信イベント「広帯域電脳娯楽大帝 ザ・ブロードバンド・エンタメキング・トレソーラ」を実施する。これは、東京放送(TBS)、フジテレビジョン、全国朝日放送(テレビ朝日)の民放3社が、過去の地上波番組をネット配信するというもの。発表を見る限り、今回は新しい挑戦が含まれているようだ。

 トレソーラは昨年9月から11月末にかけても、試みを行っていた(記事参照)。その結果は、3カ月で3133万ページビュー、のべアクセス人数110万7425人、総視聴時間が6万5000時間。一定の結果を出したが、数々の課題も浮き彫りになり、エンドユーザーから見ての活動は、ひとまず休止状態だった。しかし今回、サービスを強化して2度目のイベント実施に乗り出す。

 前回の試みでは、'80〜90年代の人気番組を、各ジャンル揃えた。そこで好評だったのは、「高校教師」「ケイゾク」「トリック」「オレたちひょうきん族」などの、ドラマ、バラエティ部門のコンテンツだった。

 今回はその経験を踏まえ、これらエンターテインメント系ジャンルに特化する。現状、番組ラインアップは明らかにされていないが、約20タイトルが見放題となる「トレソーラパック」が、前回同様月額1000円で提供される予定。この料金は、事業として「とてもペイしない額」とされていたが、今回も引き続き実験的な意味合いを持つことから、自重したものと想像される。

著作権上の“禁忌”に踏み込む

 2回目の取り組みで、最も注目されるのは映像のダウンロード配信を行う点だろう。この意味するところは、大きい。

 ダウンロード配信は周知のとおり、コンテンツプロバイダが嫌がる配信形態だ。コンテンツがクライアント側に残るため、著作権を侵害する2次流通が発生するおそれがある。ブロードバンドサイトの中で、この部分に配慮して“ストリーミング配信のみ”の姿勢をとるところも少なくない。

 実際、前回最大の課題とされていたのは、まさにこの著作権にまつわる部分だった。トレソーラの原田俊明社長は既に、著作権者の了承をえる作業の煩雑さや、コピー防止技術の導入にあたっての苦労を実感している(詳細は記事参照)。

 しかし、トレソーラは「一般のユーザーにとって、より安定した状態でコンテンツを楽しむことができるダウンロード配信は、利便性に優れた配信方法として高い需要がある」と判断。“蓄積管理技術とセキュリティー技術”を導入して、一歩進んだ新世代ダウンロードシステムを構築するという。“禁忌”(タブー)とされる部分に、あえて踏み込んでいこうとする同社の姿勢は、評価されていい。

 今回の発表は、あくまで“2回目の配信を実施”することが明らかにされたにすぎない。サービスの詳細や、将来の商用化の可能性などは、今後の追加発表を待たねばならない部分も多い。

 しかし、“ブロードバンドコンテンツ市場”がいまだ霧の中にある中、トレソーラは自ら局面の打開に、積極的に動こうとしている。「民放3局が、本気で取り組むトレソーラ」(同社)といううたい文句も、あながち偽りとは言い切れないだろう。

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▼トレソーラ

[杉浦正武,ITmedia]



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