リビング+:特集 2003/10/16 23:59:00 更新

特集:最新ヘルスケア商品事情
第2回:半身浴よりも進んだ“発汗浴”って何だ〜TOTO「furopia」

ぬるめのお湯に腰まで浸かり、心臓に負担をかけずに体の芯まで温まる。手軽で安上がり、しかも汗をかくことでダイエット効果も期待できるというのが、ここ数年注目を集めている「半身浴」だ。しかし、世の中にはもっと効率的に汗をかく方法があるらしい。

 ぬるめのお湯に腰まで浸かり、心臓に負担をかけずに体の芯まで温まる。手軽で安上がり、しかも汗をかくことでダイエット効果も期待できるというのが、ここ数年注目を集めている「半身浴」だ。しかし、世の中にはもっと効率的に汗をかく方法があるらしい。

 今年7月、TOTOは健康的にダイエットしたいという女性達の要望にこたえる「発汗浴」を提案した。発汗浴とは、半身浴や全身浴の良い部分だけを取り込み、身体に負担をかけず短時間で汗をかくという新しい入浴スタイルだ。その仕組みと効果について、TOTO総合研究所、要素技術開発部健康技術開発グループの片岡由美子氏に聞いた。

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TOTO総合研究所の片岡由美子氏

 「全身浴では、水圧が心臓などに負担をかけることは知られていますよね。ただ、一番の問題は、浴槽から出たときの“変化”です。日本では平均42度のお湯に浸かるといわれていますが、この温度で10分間入浴すると、全身の体温が平均2度上がります。もちろん、心臓も39度程度まで温度が上がるわけで、これは風邪をひいてフラフラになっている状態に近いといえます」。

 この状態で浴室から出ると、水圧から解放された手足の血管が拡張し、血圧の急激な変化によって血が頭から“落ちる”。場合によっては意識を失うこともあり、仮にそのまま浴槽へ突っ伏してしまったら、おぼれてしまう。これが年間1万4000件以上とされる入浴死の一因だ。

半身浴の効果と欠点

 では、身体に負担をかけないといわれる半身浴ならどうだろうか。半身浴は、上半身に水圧はかからず、温度も37度から40度とぬるめにすることが前提のため、身体への負担が小さいのは確か。また、ぬるめのお湯には、副交感神経を優位にするリラックス効果も期待できる。

 ただ、片岡氏によると「身体を温めたり、汗をかくといった目的を考えたとき、半身浴では時間がかかりすぎる」のが欠点だという。通常、半身浴には20分から30分は必要だといわれ、長い人では1時間以上入浴しているケースもある。「汗をかくには浴室内を25度程度に保つべきなのですが、季節やお風呂の場所によっては温度が下がります。結果として、汗をかくまでに時間がかかってしまう」。

 手っ取り早く汗をかくならサウナという手もあるが、こちらは身体への負担が大きい。「サウナに入ると、顔まで熱くなります。これは脳まで熱せられているということですが、人間は頭が冷えているほうが良い。そして、やはりサウナから出たときの温度差によって血圧が上下します」。

発汗浴の手順

 TOTOが提案する発汗浴は、お湯に浸かる部分は少なくし、腰から上をスチームで温めるというもの。しかも、浴槽に入った状態で風呂蓋をしめ、顔だけ外に出す。つまり、首から下が「半身浴プラス蒸し風呂」状態になるわけだ。

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同社が9月に発売したシステムバスルーム「fropia 発汗生活シリーズ」。価格は1坪タイプ(浴槽サイズは1717)で119万円から。10月下旬にはテレビCMも始まる予定だ

 入浴の手順は以下の通り。まず、バスタブにぬるめ(38〜39度)のお湯をはる。このとき、お湯の高さは湯船に身体を沈めてちょうど腰まで届く程度でいい。お湯をはったら、中に入って風呂ふたをしめる。ふたには首を出すための切れ込みがあり、またバスタブの縁にはヘッドレストも用意されているため、ゆったりと身体を横たえることができる。

 この状態でスチームミストをオン。スチームミスト噴き出し口は足側にあり、動き出すと数分で浴槽の中を暖かい水蒸気が充満する。ミストの温度は、39度から45度の間で5段階の調整が可能だが、通常は上から2番目の43.5度が適温だ。なお、ミストは15分後に自動的に止まるようになっている。

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足側には浴室テレビ(オプション)、涼風機、スチームミスト噴き出し口がある

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スチームミスト噴き出し口。風呂ふたを閉めないと作動しない仕組みになっている

 顔は外に出ているため、スチームを直接受けることはないが、熱いと感じたときは涼風器を動かす。涼風機は足側の壁面に設置されており、スイッチを入れると足下から涼しい風が流れてくる仕掛けだ。これにより、入浴中に息苦しさを感じたり、のぼせたりといったことを防ぐ。

 「個人差もありますが、15分程度で十分に汗をかき、身体が温まります」。時間としては、半身浴の半分程度だろうか。入浴開始から3分程度で汗が“じわり”と出始め、5〜7分もたてば“したたり落ちる”くらいになるという。

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テレビ、スチームミスト、涼風機、室内照明などはすべてリモコン操作が可能。照明を落とせば気分はリラックス(残念ながらモデルは確保できなかった!)

実証済みの効果

 例えば、発汗浴中の血圧や血流量を測定したところ、血圧は高いほうが上がりにくい傾向にあり、高血圧の人にも負担が少ないという。

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入浴時間と発汗量のグラフ。出典はTOTO

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入浴時間と収縮期血圧のグラフ

 また血流量では「半身浴では15分間という短時間ではなかなか血流量は上がらなかったが、発汗浴は上がった」。下の写真は、サーモグラフィによる体温チェックの結果だ。15分の入浴後、30分放置した状態で測定したところ、発汗浴は手足の先まで温まっていたのに対し、同じ条件で測定した半身浴のほうは入浴前の状態に戻っている。入浴時間が15分間と短くては、半身浴の効果も半減といったところか。

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サーモグラフィによる体温の変化

 これらの結果から、15分程度の発汗浴は長時間の半身浴に相当する効果が得られるということがわかる。短時間で多量の汗をかき、しかも“湯冷め”しにくいわけだ。なお、片岡氏を含むTOTOの研究グループは、名古屋大学環境医学研究所と共同で検証実験を行い、これらの結果を得たという。

男性にもオススメな理由

 「発汗浴のもう1つの効果は美容面です。通常、お化粧は皮脂やホコリと混ざってなかなか落ちないものですが、発汗後は毛穴の汚れが落ちるため、クレンジング時に歴然とした差がでます」。汗が内側から汚れを浮かし、スチームが外側から汚れを“ふやかす”のが効果的だという。「入浴時の発汗は、身体に必要のないものを落とすという意味で非常に有効です」(同氏)。

 こうしたメリットは女性だけのものではない。片岡氏は「男性にもぜひ試してもらいたい」と強調する。というのも、男性のほうが女性よりも皮脂が多く、ホコリも皮膚に付きやすいからだ。多くの男性が気になる頭皮も同じ。たとえば、薄毛に悩む人の場合、発汗浴後に育毛剤を塗布すると染み込みやすいのだという。「発汗浴後にシャンプーしたあとは、すごくすっきりしますよ」。うーん。ちょっと欲しいかも。

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fropiaは、発汗浴の機能を浴槽に持たせただけでなく、女性がお風呂でさまざまなケアを行えるよう、トータルに設計されている。写真はシャワー中にちょっと両手を使いたくなったとき、シャワーヘッドをかけることができるシャワーホルダー。その下は、カミソリなどを一時置き可能な小物トレイだ。浴室デザインには「Qタイプ」と「Pタイプ」があり、Qタイプは全身を映せる鏡も装備している。ただし、全身鏡は「社内の男性には不評でした」とのこと。さもありなん。

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関連リンク
▼発汗生活(TOTO)

[芹澤隆徳,ITmedia]



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