リビング+:レビュー 2003/12/12 23:59:00 更新

レビュー:電灯線ホームネットワークシステム
コンセントが通信インタフェースになるメリットとは?

PLCネットワークシステムの「INTRODUCTION SET」を入手できたので、早速試用してみた。限られたセットのため、検証できる部分は少なかったが、PLCが持つ利便性の一端だけは理解できた。

 韓国PLANET INT Co.,Ltdは、2004年1月中旬から日本法人を通じて電灯線ホームネットワークシステム(Power Line Communication:PLC)の国内販売を開始する。これは、国内規制の枠内となる120KHz帯を使い、独自プロトコルによる双方向通信を行うというものだ(詳細記事)。今回は、PLCネットワークシステムの「INTRODUCTION SET」を入手できたので、早速試用してみた。

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PLCネットワークシステムの「INTRODUCTION SET」

 INTRODUCTION SETに含まれていたのは、コンセントに直接接続するタップ型の通信端末「FRCコンセント」が2つと「リモコン」1台。最低限の構成だが、何の工事も必要なく、家庭のコンセントに挿すだけでPLCを体験できる導入キットだ。

まずはアドレスを設定

 インターネットにしろ、家庭内LANにしろ、多くの端末をネットワークに参加させる場合は「アドレス」が必要になる。PLCも同様だが、照明などの単純な電気機器の場合は、そもそも通信機能は持たず、アドレスを記憶する能力もない。そこで、通信を代行し、アドレスを記憶しておく装置が必要。それがこのFRCコンセントだ。

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セットに含まれていたFRCコンセントは2口タイプ

 設定の手順は簡単だ。まず、FRCコンセントを家の中のコンセントに挿し、制御したい電化製品をつなぐ。繋いだら、FRCコンセントの側面にあるスイッチを押し、電源が入ればOKだ。ON(通電状態)のときは、FRCコンセントの正面に赤いランプが点灯する。この状態で、接続した照明が点灯しなければ、電灯側のスイッチがオフになっているか、対応できないデバイスということになる。

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単純に電源のオン・オフができるだけなので、今回は照明器具を選んだ

 アドレスの設定にはリモコンの最下部にある「SET」(設定開始)、「H.S」(作成&転送)、「H.E」(消去)、「A.S」(アドレス設定)の各ボタンを使う。まず、ペン先などでSETを押し、H.Eボタンで消去。この作業をすべてのコンセントに対して行う。消去が終わったら、再び「SET」を押して「H.S」ボタン。ピロリロリという電子音がすれば初期化完了だ。

 次にアドレス設定。FRCコンセントの受光部に向け、「SET」ボタンを押すとピロリロリと上がり調子の電子音がなる。設定したいアドレスを「コンセント」と書かれた1〜3のボタンから選んで押し、さらに「A.S」ボタンを押すと、今度は下がり調子でピロリロリ。この作業を全てのコンセントに対して行う。

 一連の作業はちょっと面倒だが、一度設定すれば、新しい製品を追加したり、内容を変更する場合でなければ再設定を行う必要はない。マンションなどに初期導入されているなら事前に設定が済んでいるだろうし、一括して工事を依頼した場合は設定も作業に含まれる。さらに、その場合はPC用ソフトを自宅のレイアウトに合わせて変更してくれるはずだ。

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記者発表会で披露されたPC用ソフトの画面。工務店などにPLCの導入を依頼した場合は、画面のレイアウトも自宅に合わせて変更してくれるという。ただし、PC接続用のキットの国内発売は2004年半ばになる見込みだ

遠隔操作の快感?

 設定が済んだので、早速リモコンで操作してみる。コンセント番号で目的の照明を指定して「ON」。ちょっと離れた場所に設置したコンセントの場合は、ワンテンポ遅れて点灯した。

 なるほど、番号を指定するぶん操作は一回多くなるが、リモコンの赤外線が届く範囲に1つでもFRCコンセントがあれば、すべて操作できるというのは結構便利だ。

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2番のFRCコンセントに繋がった機器の電源を入れるときは、コンセントエリアにある「2」を押してから「ON」ボタン

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点いた。別の部屋など、リモコンの届かない場所にある機器を操作できるのは便利

 次に、2番のアドレスを振ったコンセントを洗面所のほうに移動し、ドライヤーを接続しておいた。部屋に戻り、1番のコンセントにリモコンを向けて2番をオン。遠くのほうで「ぶおー」とドライヤーが音を立てる。あんまり意味のない実験だが、少なくともコンセントを移動しても再設定は必要ないことがわかった。

 ただ、残念なことに2口のコンセントに挿した器具を個別に制御することはできないようだ。片方だけをオンにしたくても、両方点いてしまう。片方だけをオン・オフできれば、さらに利便性は向上するだろう。

 また、FRCコンセントが「ALL ON」「ALL OFF」ボタンの対象にならない点ももったいない。ALL ON/OFFは、PLCネットワークに参加している照明機器を一括操作するもので、たとえば外出時や帰宅時に便利。ただ、これは「FRCスイッチ」で統括する室内組み付けの照明器具が対象となっている。

 もちろん、「FRCコンセント」に接続するものは照明とは限らないから、ALL ON/OFFの対象になっていないのは理解できる。だが、RFCコンセントもオン・オフだけの簡単な操作しかできないため、やはり用途としては照明器具がメインになるのではないだろうか。

 おそらく、より高機能なリモコンとなる「コントロールフォン」や、PCをネットワークに参加させることが可能になれば、このあたりの操作や設定はより柔軟に行えるのだろう。今回試用したセットは、まずPLCを体験してほしいというのが狙いのため、使える機能が少ないのは仕方がない。PC連携や赤外線アダプター、セキュリティ機能、またPLANET INTの技術の特徴でもある双方向性(機器の状態を知る)も検証できなかったのは残念だ。

 もうすこし機器がそろい、さまざまな連携が可能になった状況で、もう一度触ってみたい。なお、PLC使用中もほかの電気機器にとくに影響はなかったことを付記しておく。

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関連リンク
▼韓国PLANET INT

[芹澤隆徳,ITmedia]



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