リビング+:特集 2003/12/23 23:59:00 更新

レビュー:ソニー「RDR-HX10」
自動録画や簡単操作が嬉しい「スゴ録」

最近のソニーは元気だ。ハイブリッドレコーダーでの遅れを取り戻すべく、「スゴ録」や「PSX」など新機種を相次いで発売。年末商戦の売り上げランキングでも、スゴ録の下位モデル「RDR-HX8」や「PSX」が上位に食い込んでおり、このままシェアを拡大していくのか、非常に気になるところ。今回はスゴ録の上位モデルを取り上げ、機能と使い勝手を検証する

 最近のソニーは元気だ。ハイブリッドレコーダーでの遅れを取り戻すべく、「スゴ録」や「PSX」など新機種を相次いで発売。年末商戦の売り上げランキングでも、スゴ録の下位モデル「RDR-HX8」や「PSX」が上位に食い込んでおり、このままシェアを拡大していくのか、非常に気になるところ。今回はスゴ録の上位モデルを取り上げ、機能と使い勝手を検証する

アウトライン

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他社に比べてシンプルなデザインの「スゴ録」

 DVD録画機ではなく、HDDを利用したタイムシフト視聴を重視する「チャンネルサーバー」に力を入れていたソニーは、HDDに録って好みの番組をDVDに残す、というハイブリッドレコーダーの世界では立ち後れていた。そのソニーがDVDレコーダー、ハイブリッドレコーダーに真剣に取り組んだ成果が「スゴ録」シリーズである。

 ソニーのデジタルレコーダーといえば、これまでは「コクーン・チャンネルサーバー」が知られていた。本機も基本的なGUIの雰囲気はよく似ている。しかし、その中身は全く別のものだと考えた方がいい。“HDDに録ってDVDに残す”使い方を、他社とは多少異なるテイストで再構築した製品が本機であり、チャンネルサーバーとは使い勝手も方向性も大きく異なる。

 確かに機能要素だけを取り上げると、「G-Guide」によるEPG、キーワード検索をベースにした「おまかせ・まる録」など、チャンネルサーバー的要素も持ち合わせているが、情報量に乏しく、ジャンル設定漏れの多いG-Guideでのキーワード検索では、今ひとつ効率的な“おまかせ”とはならない。コクーン・チャンネルサーバーの「おまかせ・まる録2」と、本機の機能は全く別で、単純なキーワード検索による“カスタムEPG+自動録画機能”と捉えるのが正しいと思う。

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EPGの画面

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番組情報から直接予約録画ができるのはEPG搭載機のメリット

 ただし、過度の期待をしないのであれば、やはり自動録画は便利だ。ハイブリッドレコーダーで自動録画機能をサポートしているのは本機と来年発売されるNEC「AX-300」だけ。チャンネルサーバーとの機能的な違いを理解した上で購入するのであれば、十分に期待に応えてくれるだろう。

 一方、“録画して残す”部分に関しては、既存の機種とは異なるアプローチが取り入れられている。詳細は後述するが、高ビットレートで記録した映像を元にした疑似的な2パスVBR圧縮により、高画質なDVD保存とフレーム単位編集を可能にしている。

 全体的な操作性は、基本的な機能こそ直感的な操作で迷いが少ないと感じたが、編集機能に関しては簡易的。またダビング中、ほかの操作がまったく行えなくなる点にも注意が必要だ。

 従来のハイブリッドレコーダーは、きれいに編集して高画質に残すマニア層を対象にしたものが多かったが、本機は「編集機能はそこそこ、しかし簡単・きれいには残したい」「自動録画機能も含め、画質にはこだわりたいが、手軽に簡単な編集のみで使いたい」ユーザーに向いた製品といえる。また同一価格クラスでは最大容量のハードディスクも魅力だ。

RDR-HX10を選択する理由、その1
EPG

 本機は250Gバイトを搭載する「RDR-HX10」でも、量販店では10万円少しの価格設定。それでいながらEPGが利用できるというのは、お買い得感を感じる。その上、自動録画機能の「おまかせ・まる録」があるため、忙しい中、うっかり興味ある番組をチェックし忘れても、自動で録画しておいてくれる。

 自動録画の設定は、カスタムEPGを作るところから始める。カスタムEPGとは、キーワードやジャンル指定でEPGデータ内の番組を絞り込んでリストアップするもので、興味のあるジャンルの、興味のあるキーワードを持つ番組だけを抽出するのに役立つ。本機の場合、放送時間帯の指定も可能なため、「深夜放送されているxxxをキーワードにした番組」といった指定も可能だ。このカスタムEPGの設定条件で、自動録画を行う設定にしておくと、そのカスタムEPGでリストアップされる番組がすべて自動録画されるわけだ。

 ただし使いこなしにはちょっとしたコツも必要だ。本機で使われているEPGデータは、米Gemstarの技術をライセンスした「G-Guide」だが、番組説明が少なく、極端な省略表記も多い(たとえば『裸の少年』が『裸』など)。ジャンル分けもおおまかなため、G-Guideのデータ表記のクセを把握した上で設定しなければ、安心して“おまかせ”とは行かない。あくまでも予約し忘れ、チェック見落としを救う手段と考えるべきだ。

 と、このように文句を書いたが、EPGと自動録画機能の両方を持つ機種は、2003年12月時点で本機しか存在しない。実に見逃せないポイントである。

RDR-HX10を選択する理由、その2
使い勝手の良い直感的なユーザーインタフェース

 ハイブリッドレコーダーは、特定の機能を使う際、一本道のユーザーインタフェースになりがちなものが多いが、本機は比較的自由度が高く、3つのメニュー呼び出しボタンと4方向カーソルキー、および決定キーだけで基本的な操作を行える。

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タイトルリスト画面では

 何か困ったことがあれば、その場で「ツール」ボタンを押せば、そこでできる操作が一覧されるし、機能の呼び出しや設定は「システムメニュー」ボタンに集約されている。メニューの階層も適度な深さ、分類で、マニュアルなしでほとんどの操作が直感的に行える点は評価したいところだ。

 また起動時間こそ遅いものの、リモコン操作に対するレスポンスもよく、メニューやEPG表示はハイブリッドレコーダーの中でも高速な部類になる。初めてハイブリッドレコーダーを購入する場合、操作のし始めに苦労が重なると使うことがイヤになりがちなものだが、RDR-HX10ならば、ストレスをあまり感じずに操作に慣れることができるだろう。

 同じような機能なのだから、どれも似たような操作感と思うだろうが、機会があれば他機種のユーザーインタフェースと比較してみるといい。リモコンのボタン配置さえ把握してしまえば、快適に利用できるはずだ。

RDR-HX10を選択する理由、その3
高画質録画

 本機は残念なことにゴーストを除去するGRT(ゴーストリダクションチューナー)を採用していない。都市部はもちろんのこと、日本全国ほとんどの地域で多少なりともゴーストの影響はあるもので、CATVでも反射波の混入などで完全なゴーストフリーは難しい(光化されている場合を除く)。その点では、確かに高画質設計とはいいにくいが、その1点を除けば、かなり高画質なチューナーだと感じた。派手さはないものの、スッキリと程良い絵作りの映像出力と相まって、地上派録画用のレコーダーとして魅力的な製品に仕上がっている。

 また本機は、そのままではDVDにダビングできない「HQ+」という録画品質(固定ビットレート15Mbps)を選択できる。HQ+録画時、同時に動画の複雑さ(動き要素の多さやテクスチャーの細かさ)を記録しており、DVDにダビングする際、2パスVBR(可変ビットレート)相当の高画質なビットレート変換を行える。

 実際にこの機能を使ってみると、最初から4〜6Mbpsで録画した場合と比較して、テクスチャーの細かな場面、動き要素の大きな場面、画面展開が急な場面などにおいて、瞬間的な画質低下が起きない、などのメリットを見ることができた。

 また、本機は簡単なカット編集をサポートしている(ただしプレイリスト編集は-RWへのVRモード記録時のみ)が、その際にフレーム単位で位置を指定しておくと、ビットレート変換時にフレームをきちんと繋いでくれる。この場合、通常ならば画質低下が気になるレベルで起きるハズだが、本機の場合、元の映像をHQ+で録画しておきさえすれば、ビットレート変換を行っても画質はほとんど低下しないことになる。

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カット編集画面

考慮すべき点、RDR-HX10の場合

 “スゴ録はCPRM非対応”といわれることがあるが、この情報には少し書き加える必要がある。本機はコピーワンス信号が設定された放送をハードディスク、もしくはDVD-RW(VRモード)に直接記録することは可能だが、HDD←→DVD間でダビングすることはできない。従って、必ずHDDに録画してから必要なものだけをDVDにダビングする、というのであれば、CPRM非対応という言い方も当てはまるが、単に録画するだけならば回避することも可能である。

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ダビングモードの設定画面

 もっとも、実際にはDVDへの直接記録はあまり使い勝手が良くない。その点を重視するならば、CPRM対応のダビング機能を持った機種を選ぶ方がいいだろう。ただし以下の点も考慮すべきだ。

 地上派とBSアナログの録画中心の使い方ならば、8年間はアナログ放送が継続されることを考えても、コピーワンスに関してあまり考える必要はない。いずれにしろ、現行のハイブリッドレコーダーでハイビジョン記録ができるわけではないから、NTSCレベルの放送で十分ともいえる。

 問題は、BSデジタルおよび、コピーワンス信号付きのCS番組を録画したい人だろう。これらのコンテンツを残すことが目的なのであれば、購入前に再考の余地があると思う。

 また操作性について良い評価を下したが、ひとたびダビングを始めると、全く何の機能も動かせなくなる点にも注意が必要だ。HQ+で録画し、ダイナミックVBRでDVDにダビングする場合は、記録する映像の実再生時間分だけの時間がかかる。その間、予約や録画は一切行えない。ダビングする際には、画面に次の予約時間が表示されるが、ダビング終了前に予約時間が来ても予約録画は実行されない。

 またDVD再生はなかなか高画質だが、細かな映像調整を行うことはできず、また再生位置レジューム機能もない(HDD内のコンテンツは、タイトルごと個別にレジューム可能)など、DVDプレーヤーとしてはさほど高機能ではない。

 なお、テレビ放送、HDD録画コンテンツ、DVD再生ともに、D2端子、コンポーネント端子へのプログレッシブ出力が可能となっている。

関連記事
▼ソニー、「おまかせ」録画機能搭載のHDD&DVDレコーダー
▼2Passエンコードに対応した「スゴ録」の仕組み

関連リンク
▼製品情報(ソニー)
▼ニュースリリース(ソニー)
▼Sony Drive
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[本田雅一,ITmedia]



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