世界新聞・ニュース発行者協会(WAN‐IFRA)が発行する『World Press Trends 2014』の発行部数ランキングをみると第1位は読売新聞が969万部、2位は朝日新聞(745万部)、3位が毎日新聞(332万部)、7位に日経(276万部)、10位に中日新聞(253万部)となっておりベスト10のうちの半分を日本の新聞が占めている。
人口の多いインド、中国、欧米の新聞をおさえてここまで新聞がもてはやされる理由を、海外メディアはこれまであまり検証してこなかった。「日本人は活字文化を大切にする」とか「宅配制度が普及している」という日本新聞協会の説明を鵜呑(うの)みにして、「まあ本人たちが言っているから、そうなんでしょ」くらいにとらえられていた。
しかし、今回のFT買収で改めて日本の新聞ビジネスがしっかりと検証されれば、そういう話では説明できない「異常さ」に気づく者もいるはずだ。
どこの新聞も似たような話ばかりを横並びで掲載し、関係各位や社内事情を考慮して事実を歪曲した不可解な表現を使う。例えば、東芝の「粉飾」を意地でも「不適切会計」と書き続けたことなどその象徴だ。普通に考えれば、そんな新聞が読者に支持されるわけがないのに、信じられないほど読まれている――。
実はそんな日本の新聞と非常によく似た新聞がかつてあった。ソビエトの共産党機関紙『プラウダ』(ロシア語で“真実”の意)をはじめとする旧ソ連の新聞だ。
メディア全体が「記者クラブ」みたいなものなので基本、情報は横並び。労働者がサボタージュをすれば、党本部の顔色をうかがって「労働の中断」と書いて意地でも譲らない。いくら共産主義者でも、そんな新聞読んでも面白くないだろうにと思うかもしれないが、最盛期は1100万部と今の読売新聞と肩を並べるほどの発行部数を誇った。
以前このコラムでも述べたように、旧ソ連で発案された終身雇用が社会システムのひとつとしてしっかり運用されている日本は「世界で最も成功した共産主義」なんて揶揄されている。システムが似ているので「新聞」も似たということかもしれない。
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