クロネコヤマトはなぜ、最新物流ターミナルで家電を修理するのか?羽田クロノゲート見学記(3/4 ページ)

» 2015年07月30日 08時00分 公開
[吉岡綾乃ITmedia]

手術用の医療器具を洗浄、保管、検査「羽田メディカルセンター」

 同じく羽田クロノゲート7階にあるのが、医療に関連する企業の物流を扱うヤマトロジスティクスの「羽田メディカルセンター」。ここでは医療業界向けの付加価値として、整形外科のインプラントや手術用器具などの洗浄、保管、検査といった業務を行っている。

羽田メディカルセンターでは医療器具の洗浄などを行っている。写真は器具をカゴ洗浄するようす
洗ったカゴの水を飛ばす

 病院の手術で使う医療器具は、使い捨てのもの以外はレンタルを利用する場合が多い。病院が専用器具を毎回購入するのではなく、メーカー企業から必要な器具を借り、手術が終わったら返却するという形をとっているケースが多いという。病院からすれば、毎回器具を購入するよりも設備面や人手を抑えることができる上、繁忙期や閑散期があっても関係ない、固定費にならない……といったメリットがあるためだ。

 従来は各メーカーがそれぞれ貸出用器具の洗浄・回収を行っていたのだが、それなら取りまとめて洗浄を行うセンターを立ち上げよう、洗浄だけでなく、メンテナンスや貸し出し・回収も一手に行おう……ということでヤマトロジスティクスが始めたのが「メディカルセンター」。医療器具の洗浄を行う企業は他にもあるが、ヤマトグループが行うことで機器の回収・洗浄・検品・出荷の回転が上がるのがポイントだ。

医療器具の検査

 同社では羽田の他にも7カ所のメディカルセンターを運営しているが、ターミナル内で器具洗浄を行っているのは羽田だけだという。羽田クロノゲート内のメディカルセンターは、同社の他のメディカルセンターよりもさらに回転スピードが上がる。他社では機器の洗浄・貸し出しが行えるのは月3回程度だったが、現在羽田メディカルセンターでは最大で月5〜6回回転できるそうだ。「最短で、今日の朝届いた(使用済みの)器具を、夕方までに洗って出荷できる。到着から出荷まで3時間を目指している」(ヤマトロジスティクス)

 羽田メディカルセンターでは現在、5つのメーカーの医療器具の洗浄・貸出事業を請け負っており、取り扱う器具の数は年々増えているという。「市場全体で見るとインプラントの販売数は伸びており、成長市場。今後は整形外科以外の医療器具も取り扱えるようにしていきたい」(同上)

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