今回「攻めのIT経営銘柄」では、各業種につき1社を選出する形で18社が選ばれた。経産省が業種として定義していたのは33業種。つまり1社も選ばれなかった業種が15、約半数近くあることになる。選出されなかった業種にはいくつかの共通点があるという。
まずはアンケートに回答した企業の数の少なさだ。選定基準に「直近3年間におけるROEの平均が業種平均以上」という条件があり、それをクリアする企業が少なかった業種もあったようだ。第一次産業系の業種など、業種全体として「攻めのIT経営」への姿勢が弱く、選定するレベルに満たないケースもあったという。
逆に電気機器系などITが絡みやすい業種などは優良企業がひしめき、仮にITの活用度が高くても業種内のトップになりにくく、相対的に「狭き門」になってしまう業種もあった。このような状況をみると、IT活用度が高く、ROEも優良な企業でないと「どうせ選ばれないし、アンケートに回答するだけ損だ」と考えてしまうかもしれない。しかし、選出されなかった企業にも大きな“特典”があった。
それは自社の“通信簿”。アンケート回答に基づいて算出された自社の成績についてフィードバックがもらえるのだ。「希望する会社には、個別に面談してフィードバックする」という経産省のアナウンスに対し、かなりの数の会社から反応があったという。
個別面談では、選定基準となった5つの評価項目について、その会社のスコアと属する業種の平均スコアを知ることができる。その成績表を持ち帰ることで、経営層とIT戦略について話をするきっかけができるなど、「攻めのIT経営」に向けた動きの後押しになっているようだ。
銘柄企業18社の選出にあたっては、その取り組みが“攻めのIT”として本当に有望な取り組みであるかどうか、複数の専門家がそれぞれ審査し点数をつけたが、点数の傾向が驚くほど一致したそうだ。
「この18社については、今後も株価やROEなどのパフォーマンスをチェックしていかなければいけません」と石川氏。推奨銘柄としての価値が認められるかどうかは、18社の今後の株価の動向が非常に重要になる。高いパフォーマンスを出し続ければ、「攻めのIT経営銘柄」が投資家や経営者にとって重要な評価軸となり、攻めのIT経営が多くの企業に広がっていくはずだ。
「現状、自社の投資について社長が述べるのは『設備投資』と『R&D』が中心で、『IT投資』への言及は相対的に少ない。経営層の方がIT戦略について積極的に発言するようになると、日本も変わってくるのではないかと期待しています」(石川氏)
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