敵は“味方”にあり? コンビニ内部不正、終わりなき戦いご一緒に“おでん”いかがですか 2(4/5 ページ)

» 2015年08月17日 08時00分 公開
[川乃もりやITmedia]

高度なテクニック

(画像はイメージです)

 店では、レジで入力されたデータと現金高を定期的に確認・照会しているので、単純に現金を盗んだ場合はこの作業によってすぐに特定できる。しかし、店の内情を知り始めたズル賢いアルバイトは、違う手口を駆使する。

 お客さんの中には、お釣りが出ないように会計とピッタリ同じ金額をカウンターに置き、レシートも受け取らずにそのまま帰る人がいる。新聞を毎朝買いに来る人などがそうだ。お客さんは代金をきちんと払っているが、問題なのはその時点でレジを通していないことだ。

 レジには取引を中止する操作がある。このときに取引自体をなくしてしまえば、現金が浮くことになる。その現金を持ち出すのだ。なんとこざかしいことか。

 現金高照会時点では差異が出ないのでその場でバレる確率は低くなるが、3カ月ごとに行われる棚卸によって判明する。商品はお客さんに渡っているので、商品ロスとして不正が明らかになるのだ。常日ごろ、商品管理をきちんとやっているオーナーの店では、早い段階で発覚する。あるべき商品がないのだから当然である。また、この不正には、新聞やタバコなど端数の出ない商品群に偏ってロスが発生するという特徴がある。

 筆者が本部の社員だったころ、ある店で3カ月間に100万円近くの不正があった。レジ操作の記録を見ると、深夜の時間帯に取引中止の操作が集中していた。当初、オーナーは不正を信じず棚卸業者のミスだと言い張っていたが、筆者が深夜時間帯のアルバイト2人と面談したところ、不正の事実をつかんだ。書類をドンと机に置き、「私が来た理由は言わなくても分かっているな?」とにらみをきかせると、彼らはあっさり“完落ち”した。

 細かい額までは分からなかったが、示談の意味合いも含め、2人に棚卸ロス高の全額を支払わせることでカタがついた。

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