「書きたいことを書く」仕事――ノンフィクション作家・川内有緒さんインタビュー(前編)好きなことを仕事に(3/3 ページ)

» 2015年08月17日 08時00分 公開
[Yukimi HiroyasuCredo]
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好きなところに行って、好きなことを書く

――それにしても、国際関係のリサーチのお仕事からフリーのライターに、というと職種的にも大きな飛躍があるように感じますが……。

 そもそも国連を辞めたとき、「ライターという職業になりたい」っていう気持ちだったわけじゃないんですよね。まだ「ライターとして食べていく」というほどのはっきりとした決意というのはなくて、とにかく私が見聞きしたこと、出会った面白い人、それを自分なりに文章にできればいいという感じでした。

 文章を書く仕事だけじゃ全然お金にならないから、もともとの専門である国際関係のリサーチの仕事も引き受けていましたし。そうしながら、自分が好きなところに行って、好きなことを書ければいいかなっていう思いだったんです。

 それも、国際協力分野のコンサル会社や国連みたいな、いろんな国に旅出る、いろんな国の人と働くのが普通だという環境の中にいたからこそ「今やっていることを文章にできればな」という気持ちが生まれてきたので、過去の経験が生きてる部分はいっぱいありますね。

 だから、「ライターです」と名乗ると誤解を招くかなという気もしています。

川内有緒さん(撮影:深澤祐援)

 私は川内さんを少し誤解していた。とにかく「書く」仕事に就くために、組織を辞めたのだと想像していたのだが、実際は「面白いことを」文章という形にしたい――それを生業(なりわい)に、というよりは、それができる環境がほしいという気持ちから始まったという。

 ここに、川内さんならではの「好きなことを仕事に」のヒントがあるような気がする。

 とはいえ、フリーランスは必ずしもお金の面で安定しているとは言い難い。後編では、そんな「生活」の部分、そして現在の仕事に迫りたい。(Yukimi Hiroyasu)

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