このように「間違った理論に固執」して暴走をする組織というのは日本社会の宿痾(しゅくあ)みたいなものだ。戦前の代表が日本軍である。「天皇陛下がいらっしゃる神の国が戦争に負けるわけがない」というなんの根拠もないスローガンを叫び、現実的な対案を出した者たちには容赦なく「非国民」のレッテルを貼る。結果、勝ち目のない戦闘を続けて、なんの罪もない国民を多く死なせてしまった。
こんなことを言ったら怒られてしまうかもしれないが、反対デモからも社会党や日本軍と似た「組織臭」がプンプン漂ってくる。
「憲法9条がいらっしゃる平和国家に他国が戦争を仕掛けるわけがない」という根拠のないスローガンを叫び、現実的な対案を出した者たちには容赦なく「軍国主義者」のレッテルを貼る。1人1人は尊い理念の実現にまい進しているつもりでも、全体を一歩ひいて見るとえらく好戦的な集団に見えてしまうというのも日本軍と妙に重なる。
もしも自分が採用担当者だとしたら、やっぱりデモ参加者の採用はかなり悩むと思う。政治思想やらは関係ない。こういう組織に属していてなんの疑問も抱かず理論に固執できるという「客観性の欠如」がビジネスにどう働くか未知数だからだ。
あくまで個人の意見である。かつての体育会系経験者みたいなノリで「あの炎天下のなか毎日がんばっていたのか。若いのに根性あるじゃないか」と有利に働く場合もある、かもしれない。一部マスコミは反対デモの大学生を持ち上げて、「この国の未来は明るい」なんてもちあげている。
そうであることを、心から祈りたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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