藤原: 話を戻しましょう。営業であれば、1万時間経験を積むと100人の中で1人の存在になることができます。それでは、1万人の中ではどうでしょうか? なれないことはないですが、ものすごく難しい。では、どうすればいいのか。さらに営業のスキルを磨いて1万人の中で1人の存在を目指すこともいいのですが、ここで掛け算をしてみてはいかがでしょうか。
左足の軸足が決まったら、次は右足の軸足を決めるといった感じ。営業で100人の中で1人の存在になることができれば、次は販売で1人の存在になればいい。例えば、25〜35歳の間にある分野で100人の中の1人になることができれば、次はその近い分野で、100人の中の1人を目指す。そうすると、営業と販売ができる存在になったり、財務と経理ができる存在になったり、広報と宣伝ができる存在になることもできる。多くのビジネスパーソンは、意識的にこのことをやっていないんですよね。
土肥: そりゃあそうですよ。営業成績がトップなのに「次の異動先は販売ね、よろしく♪」なーんて言われたら、ショックですよ。
藤原: 仕方がなく異動……と受け止めるのではなく、そこは「戦略的」に考えなければいけません。営業で100人の中で1人の存在、販売で100人の中で1人の存在になれば、100分の1×100分の1で、1万人の中で1人の存在になることができる。100万人の中の1人になるのはものすごく難しいですが、1万人の中であればどうでしょう? それほど難しなく、自分でもできるのでは? と感じる人も多いはずです。
ネイルアーティストとアロマセラピストの仕事がありますが、どちらも20〜30年前にはなかった職業ですよね。私の母は昭和ひとケタ生まれですが、その母も昔は自分の指にマニュキュアを塗っていました。しかし、このマニュキュアにアートを結びつけた人がいるんですよね。
土肥: ネイル×アーティストという掛け算?
藤原: はい。ネイルをやっている人はたくさんいましたし、アーティストをやっている人もたくさんいました。それを爪の上でやったことで「希少性」が生まれたんですよ。その結果、そこにお金が集まるようになりました。
アロマセラピストの仕事も同じですよね。20〜30年ほど前には存在しなかったと思いますが、それまでアロマを仕事にしている人はたくさんいました。また、セラピストもたくさんいました。例えば、お寺の住職や教会の神父もセラピストの中に入りますよね。アロマとセラピストを掛け算して、アロマセラピストという職業をつくった人がいる。そうすることで「希少性」が生まれました。その後、協会をつくって資格試験を設けることで、そこにお金が集まるようになりました。
土肥: なるほど。
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