通常の内視鏡手術は、体内に通した管からの限られた視野で行うため、精密な手先の操作を必要とする。もともと米国で開発された術式だが、手先が器用な日本のドクターは世界屈指の技術力を持っている。
しかし、こうした日本人の“手先の器用さ”が、手術支援ロボット市場で米国企業に水をあけられる一因となった。米国は日本とは逆に、医師の手先の器用さをロボットによって代替したというわけだ。
ISが保有する技術は、米DARPA(国防高等研究計画局)のプロジェクトとして、50〜100億円ともいわれる軍事予算がつぎ込まれて開発されたものだ。こうして生み出されたダ・ヴィンチにはロボットアームや内視鏡、3Dディスプレイ、通信プログラムなどさまざまな要素技術が用いられている。その中には日本製の部品が多く採用され、ダ・ヴィンチの高い精度を支えている。
過去には日立や東芝などの日本企業が手術支援ロボット市場に参入しようと試みたが、いずれも撤退している。政府も、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)をハブに予算をつけているが、このまま参入して市場で勝てる見込みは薄いだろう。
日本メーカー参入の障壁は、3つある。
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