バブル崩壊が生んだBセグメントの隆盛池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/5 ページ)

» 2015年08月31日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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 つまり現在のBセグメントはエンジニアリングの基本の部分は各社ほぼ同じで、それに電制メカニズムをどう付加していくか、そしてそれをいかに安く売るかの争いになっているのだ。

 そうやって作ったクルマを変奏曲のように展開して、さまざまなボディバリエーションを生み出していく。トヨタで言えば、「ヴィッツ」をコアにして、そのハイブリッド版が「アクア」、スペシャリティが「ist」、2列シートのワゴンが「ラクティス」、3列シートのミニバンが「シエンタ」(ただしリヤは「カローラ・スパシオ」)、商用が「プロボックス」(こちらもリヤは「カローラ・スパシオ」)という具合だ。トヨタには無いが、日産にはやはりBセグベースのSUVとして「ジューク」がある。

ヴィッツは、トヨタのBセグメントの基準となるクルマ ヴィッツは、トヨタのBセグメントの基準となるクルマ
アクアはヴィッツをベースに仕立てられたハイブリッド アクアはヴィッツをベースに仕立てられたハイブリッド
ラクティスはヴィッツをベースに仕立てられたワゴン ラクティスはヴィッツをベースに仕立てられたワゴン
シエンタはヴィッツをベースに仕立てられたミニバン シエンタはヴィッツをベースに仕立てられたミニバン
プロボックスはヴィッツをベースに仕立てられた商用車 プロボックスはヴィッツをベースに仕立てられた商用車

 こういうバリエーションを上手に商品企画して、新規開発コストをできる限り抑えながらニューモデルを作り出していかないと勝ち残れない。

 Bセグメントは確かに売れているが、それは血のにじむような厳しいコスト制約との戦いの結果なのだ。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

 →メールマガジン「モータージャーナル」


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