では、過去の世界最長フライトは、どのエアラインの、どの路線だったか?
シンガポール航空が運航するシンガポールから米国ニュージャージー州・ニューアーク空港への路線が運航距離約1万5000kmで、かつては世界最長として知られてきた。エアバスの4発機A340-500で約19時間かけてフライトを続けてきたが、燃費の悪さなどから採算がとれず、同路線は2013年11月で運休に。代わって2015年8月現在では、カンタス航空のシドニーからダラス・フォートワース空港への路線が世界最長になった。運航距離は約1万3800kmでエミレーツ航空が新規に開設するドバイ〜パナマシティ線と同等だが、シドニーからダラスへの飛行時間は15時間35分で、ドバイ〜パナマシティ線よりも短い。こちらは総2階建て機A380での運航である。
日本からノンストップ便での最長はどの路線か? 答えは、アエロメヒコ航空の成田からメキシコシティへの路線だ。その距離は1万1271km。ほかに日本からの長距離路線としては、ニューヨークへが1万854km、南部アトランが1万1024km、ヨーロッパではイタリアのローマまでが9908km、オセアニアではニュージーランドのオークランドまでが8806kmだ。そのどれと比較してもメキシコシティ線は長い。ボーイングの次世代機787での運航で、フライト時間は13時間に及ぶ。
ちなみにメキシコシティからの帰国便はモンテレイ経由のため、成田までのフライト時間は約18時間に。標高が2000mを超えるメキシコシティは空気が薄く、エンジンの燃焼効率が低下して平地ほどのパワーが得られない。燃料を満タンにしての離陸が難しいため、メキシコシティでは軽い状態で出発し、標高が低いモンテレイに一度降りて燃料を補給する必要がある。ただし同社は航続距離が延びる787-9も発注していて、導入後は復路もダイレクト便にすることを検討していくようだ。
作家/航空ジャーナリスト。東京都出身。学生時代に航空工学を専攻後、数回の海外生活を経て取材・文筆活動をスタート。世界の空を旅しながら各メディアにリポートやエッセイを発表するほか、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活動。
著書に『ボーイング787まるごと解説』『ボーイング777機長まるごと体験』『みんなが知りたい旅客機の疑問50』『もっと知りたい旅客機の疑問50』『みんなが知りたい空港の疑問50』『エアバスA380まるごと解説』(以上ソフトバンククリエイティブ/サイエンスアイ新書)、『新いますぐ飛行機に乗りたくなる本』(NNA)など。
Blog『雲の上の書斎から』は多くの旅行ファン、航空ファンのほかエアライン関係者やマスコミ関係者にも支持を集めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング