また航空会社は最近、機内のレイアウトにも変更を行なっている。顕著な変化は、ビジネスクラスの増設だろう。ニーズの少ないファーストクラスを減らして、ビジネスクラスを充実させているのだ。ファーストクラスには及ばないが、ビジネスクラスをアップグレードさせ、利用者の満足度を上げようとしている。よりプライベートな空間を確保できるレイアウトや快適な座席、アメニティや機内食の充実など、航空会社によって異なるサービスで競い合っている。
ビジネスクラスを充実させている一方で、犠牲になっているのがエコノミークラスだ。エコノミークラスの座席スペースは、これまで以上に狭くなっている。1970年代には平均で35インチ(88.9センチ)あった足元のスペースが、現在では31インチ(78.7センチ)と10センチほど狭まっている。
足元だけではない。座席の幅もじわじわと狭まっている。1970年代には18インチ(45.7センチ)だった座席の幅が、現在では16.5インチ(41.9センチ)になっている。もともと狭い座席がじわじわと狭くなっているのだから、以前に比べて居心地が悪くなっていると感じるのも当然だろう。頻繁に飛行機を利用するビジネス旅行客なら、追加料金を払ってでもスペースを確保したくなるはずだ。
ただ言うまでもなく、ビジネスとエコノミーの価格差は大きい。米国系の航空会社では、少し前から通常のエコノミーよりスペースを若干広くした「エコノミープラス」のような座席も提供している。だが近年、航空会社の世界的なトレンドとなっているのが「プレミアムエコノミー」クラスの導入だ。ビジネスクラスとエコノミークラスの中間となる新しいクラスで、エコノミー料金の約1.5倍ほどの金額で利用できる。
プレミアムエコノミーは、限りなくビジネスクラスに近い快適な座席とアップグレードされた機内食やサービスが売りだ。エコノミークラスより値が張るが、ビジネスクラスより格安で同等のサービスを受けられるとビジネス旅行客に好評だ。
国際線を提供する大手航空会社、20社のうち15社がすでにこの「プレミアムエコノミー」を導入している。米国ではこの「プレミアムエコノミー」クラスはまだ導入されていないが、グローバルスタンダートとなりつつあるこのトレンドは今後米国へも浸透していきそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング