「格差社会は金持ちこそが滅びる」は本当かスピン経済の歩き方(4/4 ページ)

» 2015年09月29日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「ストレス」を感じるとき

 これまで紹介をした学術研究を信じるのなら、われわれが「ストレス」を感じるのは、「現実の格差」ではなく「格差によって自分の貧しさを感じた」という時である。644倍という具体的な数字をつきつけられた米マクドナルドの社員たちが「自分たちだけ損をしている」とこれまでにない強いストレスを感じるというのは十分考えられる。その妬みや憎悪は果たして誰に向けられるのか。

 超格差社会の米国で、格差を可視化してより多くの人々に「自分は貧しい」と感じさせることにどういうメリットがあるのか理解に苦しむ。

 またウォール街でデモとか起きる日も、そう遠くないのかもしれない。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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