ガラパゴスから世界標準市場へ
全国新幹線計画。青は開業済み、赤は建設中、ピンクは全国新幹線鉄道整備法に基づく計画路線
世界の鉄道車両メーカーが数社に集約されていく中で、日本では独自の鉄道車両メーカーが存続している。そして川崎車両、日立製作所などは海外への輸出もできるようになった。これらのメーカーは、日本の三六軌間に守られ、育まれた。もっとも、裏を返せば、鉄道会社にとって安価な海外製車両を導入しづらくなっていたとも言える。
標準軌の新幹線の成功も三六軌間が維持された結果といえないか。もし在来線が改軌していたら、東海道新幹線は都市部で在来線に乗り入れたかもしれない。所要時間は増えるけれど、用地買収コストは下がるからだ。新幹線は三六軌間とは相容れないから、独立した路線となり、高速で安全なシステムが出来上がった。
日本の鉄道史において、三六軌間の採用は失策かもしれない。しかし、だからこそ日本は独自に技術を発展させ、新幹線を作り、標準軌による新たな都市間鉄道ネットワークを作ろうとしている。改軌論の亡霊が復活し、140年以上の三六軌間の呪縛から解放される時がきた。
もっとも、これは海外メーカーにとってもチャンスだ。日本は新幹線を海外に輸出しようとしているけれど、逆に海外から「日本の鉄道市場を解放せよ」という圧力が高まる可能性もある。新たな改軌論の亡霊は、海外からやってくるかもしれない。
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