昔の日本企業は立派だったが、最近は「カネ、カネ、カネ」でモラルが低下しているなんて嘆く人も多いが、これは単に日本のデパロッパーの「マンション住民」に対する本音がストレートに出てしまっただけだと思っている。
住民にとっては世界でひとつのマイホームだが、デベロッパーからすれば、年間扱う何千戸のなかの一部であって、できる限り「手間」をかけたくない。つまり、臭いものにフタではないが、ぶっちゃけ「うやむや」にしたいのである。
デベロッパーでもないお前に、なぜそんなことが断言できるのかと思うかもしれないが、これはなにも私が言っているわけではない。三井不動産の方がそのようにおっしゃっているのだ。マンションを購入する際にお読みになった方も多いと思うが、『現役・三井不動産グループ社員が書いた!やっぱりダメマンションを買ってはいけない』(ダイヤモンド社)という良書がある。マンション販売で20年のキャリアをもつという「藤沢侑」を名乗る現役社員が、マンション選びのポイントを分かりやすく紹介しているのだが、そのなかで注目すべきは、この人物が「欠陥ダメマンション(欠陥ダメマン)がなくならい」という業界の構造的な問題を的確に言い表していることだ。
そのひとつが、「工期」である。すでに完売して引き渡し日が決まっているマンションは「工期」をずらせない。もしそこでなにかしらの問題に気づいても、デベロッパーも現場も目をつぶってスルーしてしまうというのだ。
大きな欠陥がでるかもしれないが、「とにかくまず引き渡しをするほうがリスクが少ない」と考えるのです。これが企業としてのリスクの考え方なのです。実際全ての住宅に欠陥が出る訳ではないので、出ても一部ならこのほうがトータルとしての負担は少ないのです。そこには、欠陥ダメマンを買ってしまった人の心の痛みなど考慮されていません。(「第5章―4.デベロッパーが入居時期を遅らせることができない理由」より)
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