メルシャンの担当者が、何度も何度も「ブドウ畑」に足を運ぶ理由水曜インタビュー劇場(ワイン公演)(4/7 ページ)

» 2015年10月28日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

いいブドウをつくるのに、手間暇と我慢が必要

生駒: 日本の場合、出荷シーズンに台風がやって来ることが多いので、台風が来る前に収穫する農家さんがいらっしゃいました。でも、ブドウが熟していない状態で収穫しても、おいしいワインはできません。また、農家さんは大根をつくっていたり、イモをつくっていたり、お米をつくっていたりしているので、ブドウだけに集中することが難しいんです。10月に入ったらお米を収穫しなければいけないので、「ブドウは9月までに全部取ろう」といった具合でした。

土肥: でも農家さんの言い分も理解できますよね。ブドウ専業であればいいですが、兼業でやっている人からは「メルシャンさん、そんなムチャを言わんといてください」といった声が聞こえてきそう。

生駒: いいブドウをつくるのには、手間暇と我慢が必要なんです。必要なタイミングで必要な作業をしなければいけません。そして、できる限り健全な状態で、ブドウを熟さなければいけません。そのケアがものすごく重要。少しでも病害にかかってしまうと、すぐに広がってしまう。なので、病害にかからないように、定期的にパトロールをしなければいけません。

 長野県に北信地区というところがあって、そこで栽培しているブドウは以前、まとめてどーんと仕込んでいましたが、現在は畑ごとに仕込みをするようにしました。なぜそのような手間をかけるかというと、それぞれの畑の標高が違っていたり、場所が違っていたり、風向きが違っていたりするので、ちょっとずつブドウの“適熟期”が違ってくるんですよ。ブドウはちょっとずつ熟していって、ピークを越えてしまうと味が落ちていく。それぞれの畑でピークは違うので、一番いいタイミングで収穫しなければいけません。なので、畑ごとに仕込みをするようになりました。

土肥: ピークの期間ってどのくらいですか?

生駒: 2日くらいですね。

土肥: み、短い。世の中は3連休なので、畑仕事はお休み……というわけにはいきませんね。

生駒: ダメ、ダメ。人の都合に合わせていてはダメですね。ブドウの都合に合わせなければいけません。「この日に収穫する」と決めたら、みんなで協力するんですよね。「今日は○○さんの畑で収穫するので、みなさん手伝ってくださいね」といった感じで。

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