シャープの「ロボホン」は、普及するのか?目のつけどころ(2/4 ページ)

» 2015年10月30日 10時48分 公開
[金森努INSIGHT NOW!]
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ロボホン普及のカギは価格と販売台数

 筆者的には物欲メーターが上がる気がするのだが、問題はその価格だ。市販人形ロボットとして2015年6月に先行して販売を行ったソフトバンクの「ペッパー」は、本体価格は20万円程度だが、通信サービスや保証パックに加入すると支払い総額が100万円を超えると言われている。毎月1000台の一般販売枠は1分で完売する人気ぶりだというが、企業の宣伝用やよほどのマニアでなければ手が出ないだろう。

 その価格に関しては興味深い考察が日経MJ・10月19日号コラム「ウェブワールド」の記述にある。『「初年度5万台出荷が第一関門」コアなロボットファンだけでは1万台がせいぜい。だがもし5万台売れたらロボットファン関連アプリなど周辺ビジネスが立ち上がる。ロボホンを前提とした新たなコミュニケーションサービスも生まれ、大きな市場に育つ可能性が出てくる』『5万台のハードルを越えるには、価格がポイントになる。価格は未公表だがロボット関係者の多くは20万円前後と予想する』

 5万台というハードルを高いとみるかどうかだが、価格対も商材も全く違うが、2015年の今年、10年目にして高級車「レクサス」の累積販売台数が5万台を超えたことで話題になった。

 同じく価格対が違うが、ハイテク製品という意味では、東京ガスの家庭用燃料電池「エネファーム」は5万台普及に6年間を要した。時代が違うが同じロボットなら、今となっては懐かしいソニーの犬型ロボット「AIBO(アイボ)」の例が挙げられる。1999年に20万円弱で販売開始されて以来、徐々に値段を下げてファンの裾野を広げていったが2006年にソニーのロボット事業撤退を受けて生産を終えた。 7年間の累計販売台数は15万台であった。

 恐らくコラム「ウェブワールド」の言う「5万台のハードル」は時間をかけて越えるのでは意味がない。一気に販売して市場を盛り上げると共に、生産現場でも規模の経済を効かせて価格低減を図るという意味もあるのだろう。とすると、過去の事例から考えても簡単に越えられるハードルではなさそうだ。

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