「本を愛する人」からTSUTAYA図書館が嫌われる理由スピン経済の歩き方(4/7 ページ)

» 2015年11月10日 07時07分 公開
[窪田順生ITmedia]

図書館は「自由」ではなくてはいけない

 そういう「現実」を指摘するメディアがあってもいいいのだが、ほぼすべてといっていいほどCCCをボロカスに叩いている。これは、全国の図書館関係者がCCCを、図書館業界の風上にもおけないと輩だと見下していることが大きい。例えば、CCCと共同で指定管理者を務めながら一時期は「絶縁宣言」まで飛び出した図書館流通センター(TRC)の谷一文子会長は、とてもビジネスパートナーとは思えぬほど敵意むき出しの発言をしている。

 この図書館には公共図書館にある基本的な機能がない。改善点を申し入れたが、聞き入れてもらえなかった。(2015年11月2日産経新聞)

 図書館流通センターといえば、業界の最大手。先輩の苦言に耳を貸さない生意気さにイラッときたのかもしれないが、ここまでCCCが嫌われる理由は別にある。

 さまざまな意見があるだろうが、個人的にはCCCが図書館運営事業に参入した際、CCC・図書館カンパニー社長の高橋聡氏が発したコメントが致命的だったと思っている。

 現場で働いて感じたのは図書館の仕組みが「提供者目線」だったことです。多くの図書館が採用する日本十進分類法では「ベランダ菜園」の本が、産業→園芸→蔬(そ)菜園芸と分類される。菜園なのに産業ですよ。利用者のことを考えていない。新しい分類システムを作りました。変更後の「菜園」は趣味実用→園芸→家庭菜園です。(朝日新聞2013年9月11日)

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