“オシアナス・ブルー”を支えるデザイナーのこだわり、その舞台裏に迫るデザイナーに聞く(3/3 ページ)

» 2015年11月13日 10時00分 公開
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地道な基礎研究開発の積み重ねが、オシアナスを進化させる

――今回のモデルでは、オーロラグリーンを採用した限定モデル(OCW-G1100E)も開発しました。これまでの話を踏まえると、オーロラを表現するというのも難しかったのではないかと思います。

矢田部氏: ベゼルのサファイアガラスには、少し青みがかったオーロラグリーンと濃いブルーを組み合わせて蒸着し、インデックスのゴールドは夜の地球に光る都市の光を表現しました。カラーリングは、“オーロラ”というコンセプトありきではなく、グリーンを使ってオシアナスのアイデンティティを表現するためにはどうすべきかを考えた結果、オーロラというイメージにたどり着きました。

花形氏: 販売されるのは500台限定ですが、開発工程はOCW-G1100と全く変わらず、むしろ限定色のほうが、開発が難しく時間と手間がかかっています。色を変えても、全体のバランスを考えながらオシアナスの世界観を実現しなければいけないので、その過程は大変でした。ただ、そこが限定モデルならではのやりがいでもあります。思い切った色に挑戦できるし、そこに手間ヒマがかかるのは厭(いと)いません。皆さんにもそこを楽しんでもらえればなと思います。

――イメージがあってもそれに合う部品や素材がないという状況もありうると思います。その場合はどうするのでしょうか?

花形氏: 金属では表現できない色や従来の技術では実現しない色はあります。しかし、私たちは“できること”の範囲に製品開発を収めるのではなく、“やりたいこと”を実現するために、量産製品の開発以外にもカラーリングや素材、仕上げに関する基礎技術の研究開発を重ねています。

 オシアナスのカラーリングはただ塗装したというものではないので、先んじて着色技術を追求していかなければ将来の製品開発ニーズに対応できません。そうした思想のもとでの研究の積み重ねがあるからこそ、今回のオシアナスでもこだわりのブルーやオーロラグリーンの表現が実現したのではないでしょうか。基礎研究に業務で使えるリソースは10%程度ですが、そのリソースから生み出される技術や素材が、“オシアナス・ブルー”を進化させるために欠かせないのです。

 オシアナスを買ってくださる方の多くは、素材や機能だけでなく、“オシアナス・ブルー”に魅力を感じてくださっています。特に日本人は「ブルー」に対して目が肥えているような印象があります。だからわれわれもお客さまの求めるものに答えるべく、妥協を許しません。先ほども話しましたが、今ある選択肢から選ぶのではなく、目指す色を描いてから方法を考えます。選択肢を広げるべく、常に新たな手法を開発しています。どこで何が役に立つか分かりませんから。

 試作の色ができたら、みんなで午前中にチェックしたりします。朝は目が疲れていませんし、自然光もちょうどいいからです。他にも、蛍光灯、半外光などさまざまな光の下で確認します。

 今後も、皆様の目と心に響くような「ブルー」の新たなCMFデザイン(カラー、マテリアル、フィニッシュ)を追求していきたいと思っています。

カシオ計算機 時計事業部デザイン開発部 花形茂氏と、矢田部孝司氏
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