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今からでも遅くない? 年収200万円と800万円の分かれ道金曜インタビュー劇場(藤原和博さん)(2/5 ページ)

» 2015年11月13日 10時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

藤原: この流れは止めることができないでしょう。高度経済成長期以降、多くのサラリーマンは年収400万〜800万円を手にしていました。いわゆる“中間層”ですね。働く人でありながら消費者でもある……1億総消費者の時代だったので、日本は国内需要だけでかなり儲(もう)かっていて、その利益で海外展開を進めることができました。

 そして、海外でも儲かったので、そのお金を使って設備投資などをして……といった感じで、経済はうまく回っていた。しかし、これからは違う。年収200万円〜400万円くらいの人と年収800万円以上の人――この2つの層の格差が開いていくのではないでしょうか。

かつての日本は中間層が多かったが……

土肥: なぜそのような動きになるのでしょうか?

藤原: それは「成長社会」から「成熟社会」への変化が深く関係しているんです。

土肥: あ、前回、お話いただいたテーマですね。戦後の焼け野原から、日本の経済はジグザグしながらも右肩上がりで成長してきました。しかし、バブル経済崩壊の影響を受けて、金融機関がバタバタと倒れていった。それまでのことを藤原さんは「成長社会」と呼んでいて、ひとことで言えば「みんな一緒」という意識が強い世界だった。学校の先生や親の言うとおりに、“いい子”にして、“偏差値の高い大学”に入学し、できるだけ“大きな会社”に就職できれば、それなりの年収を手にすることができた。そうしたルートを、みんな一緒に走っていたんですよね。

藤原: はい。当時は「情報処理力」が求められていました。例えば、ジグソーパズルのピースには必ず“正解”があって、それをいかに早く見つけるかという頭の回転の速さが求められていたんです。

 しかし、1997年に山一証券などが経営破たんしてから、成長社会が崩れていきました。次に、やってきたのが「成熟社会」。今の時代は、身に付けた知識や技術をさまざまに組み合わせて、みんなが納得できる解……すなわち“納得解”を導き出さなければいけません。ひとつの正解をできるだけ早く見つけるのではなく、頭の柔らかさが重要になってきました。この、納得解を作り出す力のことを私は「情報編集力」と呼んでいます。

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