藤原: 旅行会社でツアーコンダクター(以下ツアコン)として働いていても、やがて行き詰る人が多いんですよね。会社を辞めて、ツアー会社を設立して独立されるケースもあります。でも、下請けだったり、孫請けだったりすると、どうしても利益は薄くなる。そこで、もし犬が好きな人であれば、犬に関係する仕事(トリマーや訓練士など)を5年ほど夢中でやって、ツアコンのキャリアを掛け合わせれば、犬好きな人をターゲットにしたツアコンができるかもしれません。
その仕事は全国展開する必要もないですし、東京でなくてもいい。地方で展開しても十分やっていけるのではないでしょうか。
土肥: 犬×ツアコンの話をされましたが、そのような掛け算ってたくさんあるのではないでしょうか。
藤原: あります、あります。ちょっと変わった例も挙げてみましょう。いま「地方創生」という言葉をよく耳にしますが、成功しているケースを見ていると、ほとんどが掛け算で企画されている。例えば、大分県は地元の温泉をアピールするために、プロのシンクロナイズドスイミングチームと実在する温泉の“掛け算”で動画をつくりました。水深は50〜100センチほどしかないところで、シンクロを行う。厳しい条件の中で繰り広げられた演技は、多くの人に見られて話題になりました。
土肥: 温泉×シンクロで、希少性が増したわけですね。
藤原: 需要と供給のことを考えずに、また自分自身の希少性をどう演出するかも考えずに仕事をしていると、今後「年収」は下がる可能性が高くなると指摘しておきましょう。なぜなら、いま人間がやっている仕事が、明日コンピュータにとって代わられるかもしれないから。ホワイトカラーが今やっている多くの処理業務は、IT化やロボット化が進んで、やがてなくなっていくでしょう。そうした影響を受けないようにするにはどうすればいいのか。何かと何かを掛け算して、自分の希少性を上げていかなければならないのです。
(つづく)
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