パリ同時多発テロ発生 日本のスポーツ観戦は安全なのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2015年11月16日 11時35分 公開
[臼北信行ITmedia]

セキュリティチェックが厳しい米国

 前記したビン、カン、ペットボトルはスタンドから投げ込む凶器になるだけではなく、危険な液体を詰め込む容器にもなりうる。ましてやパリ同時多発テロでは、実際にスタッド・ド・フランスに現れたテロリストのように爆発物を衣服に装着したり、あるいは手荷物に隠し持ったりするテロ攻撃も今のような日本の各スポーツ会場の甘いセキュリティシステムではスルーされてしまう危険性が非常に高い。

 その日本のスポーツ会場の緩いチェックとは対照的にセキュリティレベルが高いのが、米国だ。2001年9月11日に発生した同時多発テロ以降、連邦政府からの通達でスタジアムやアリーナなどのセキュリティは空港並に厳重になっている。入場ゲートに通行用と手荷物用の金属探知機が設置されている会場が大半を占め、大会によっては主催者側の意向で入場者全員にボディチェックが課せられることも珍しくない。

 例えば、メジャーリーグで絶大な人気を誇る名門ニューヨーク・ヤンキースの本拠地ヤンキースタジアムではスタンド観戦者に対してビン、カン、ペットボトルはもちろん、バックパック、ブリーフケース、アタッシェケース、大きなハンドバッグ、ノートPCの持ち込みが禁止されている。だから観戦するファンのほとんどは手ぶらに近い状態だ。スタジアム内には試合中も爆発物探知犬が臭いを嗅ぎ回りながら、周囲に目を光らせている。毎試合に厳戒態勢が敷かれていると評していい。それでもファンから不平不満の声は聞こえて来ないのが現実のようである。

 以前、米ニュース専門局『CNN』ではヤンキースの関係者がヤンキースタジアムの手荷物規制について「われわれを含め米国の国民は9・11の悲劇を経験し、危機が身近にあることを知った。二度と繰り返さないためにファンの方々にもわれわれは協力をお願いしている。そうやって来場してもらったファンの方々に喜んでもらえるように選手たちは皆必死にプレーし、われわれも可能な限りのサービスを提供している」とコメントしている映像が放送されていた。 

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