土肥: え、でも、そのコードの数字とアルファベットって双方が覚えておかなければいけませんよね。「『76F』っていうコードが送られてきたけど、これってどういう意味だったっけ?」となりませんか?
小久保: 一覧表になっているので、お互いがそれを見ながら確認しています。アルファベットと数字を組み合わせて、最短で8文字。文字数は増やせますので、不具合の内容を細かく伝えたい場合には、8文字よりさらに増えることになります。
「シートの汚れ」は「A」、「イヤフォンの故障」は「B」といった感じで決めているので、そのコードが送られてくれば、整備士は「ジュースをこぼされたのかな」と考えて、シートのカバーとベルトなどを用意する。なぜ文章でなくて、コードにしているかというとそのほうが間違いがないからなんですよね。
土肥: なるほど。話は変わりますが、昔の飛行機に比べて、今の飛行機って複雑化していますよね。コンピュータ化されている部分も増えているので、整備士の仕事も大変になっているのではないでしょうか。
小久保: いえ、必ずしもそうではないんですよ。コンピュータは自己診断機能を搭載していて、悪いところを見つけてくれるんですよね。それを暗号化して、地上に教えてくれます。
土肥: おお、そこも暗号化。例えば、どのような内容が多いのですか?
小久保: エンジンの中にはエンジンをコントロールするコンピュータを搭載しているのですが、その中の回路に不具合が生じれば教えてくれるんですよね。「ここの動きが悪いよ」といった形で。
こうした機能が搭載されていないときには、整備士が「ここが悪いのでは?」「いや、ここが悪いはず」といった感じでチェックしていました。こうした作業もマニュアルに沿って行うのですが、経験を積んでいるベテランの整備士は飛行機の構造をよく理解しているので、原因を見つけたり、修理するのが速かったですね。
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