米国に移り住んでから気付いたこと新連載・松村太郎の「バークレー生活研究所」(2/3 ページ)

» 2015年11月19日 08時00分 公開
[松村太郎ITmedia]

時間は待ってくれないことと、バカげた選択

 少し話がそれましたが、米国への移住を決めたもう1つの理由は、スティーブ・ジョブズの死です。今でもまだまだ経験が浅いというべきですが、ジャーナリストとしての経験が足りなかったため、それまで米Appleの発表会や開発者会議などのイベント取材の機会はありませんでした。しかしAppleの記事を書いていれば、一度は「ジョブズのプレゼンテーションを取材したい」と願うものです。

 結果的には、それは叶いませんでした。自分が成長するまで誰かが待ってくれるということなんてない。そう考えたとき、「自分の居場所が悪いのではないか」という気分になりました。そこで、住む場所を変えることにしたのです。日本の東京で仕事に打ち込むことが、足踏みしているように思えたからです。

2013年公開、アシュトン・カッチャーがジョブズ役を演じた映画「Jobs」。公式伝記を基にした最新の映画「Steve Jobs」も見ましたが、映画としては「Jobs」の方が好きでした。何しろ、似ていましたし 2013年公開、アシュトン・カッチャーがジョブズ役を演じた映画「Jobs」。公式伝記を基にした最新の映画「Steve Jobs」も見ましたが、映画としては「Jobs」の方が好きでした。何しろ、似ていましたし

 しかし、今振り返ると、全く関係のない選択だった、と結論付けることができます。東京での生活をなげうったことに対して、少しではなく、相当な後悔もしました。いくらネットが普及していても、普段いる場所が変わればその断絶は大きくなるし、見聞きできるもの、出会える人も変わるからです。

 ただし、しだいに良い経験をしていると思うようになったし、バークレーで生活することが「体験的に」「人と違う方法」という筆者の好きなやり方に沿っているとも考えられるようになりました。

 ジョブズが行ったスタンフォード大学での有名なスピーチに「Connecting the Dots」という言葉が出てきますが、彼の死の4年前に「まさに」という体験をしていたことから、印象深いフレーズとなりました。

 筆者は生活に関するテクノロジーについての記事を書いており、発展著しかった携帯電話とともに、好きだったAppleについても記事を書いていました。ご存じの通り、Appleは2007年にiPhoneを登場させ、筆者が追いかけていた「ケータイとApple」という2つの分野が1つになってしまったのです。

 ちなみに、Appleは2019年に電気自動車を発売するとまで言われています。筆者は父の影響もありクルマが大好きで、高校では自動車部に所属していたほどです。筆者にとっての次のConnecting the Dotsも、Appleが作り出してくれるかもしれない、と楽しみにしています。

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