小久保: 飛行機の出発時間が遅れるのであれば、お客さまに「何分遅れます」と伝えなければいけません。しかし、その「何分」をどう決めるのかが難しい。もちろん現場で整備を担当している者に確認します。「あと、どのくらい時間がかかりそうか?」と。お客さまの立場からすれば「30分遅れる」と聞いていたのに、実際は「60分」も遅れたら嫌ですよね。なので、少し長めに伝えています。
土肥: なんと。
小久保: 逆に、短く言えばどうなるのか。「30分遅れます」と伝えていたのに、その時間内に修理が終わらず、「もう30分遅れます」と言わなければいけません。お客さまからすれば「30分遅れます」「もう30分遅れます」と2回言われるのであれば、最初から「60分遅れます」と言われたほうがいいですよね。60分遅れるのであれば、その間にご飯を食べに行くことができますので。
土肥: 分かります、分かります。
小久保: でも、ここでも問題があるんですよ。最初に「60分遅れます」と伝えたのに、実際には「30分」で修理が終わった。じゃあ、すぐに飛行機を飛ばそうというわけにはいきません。「60分遅れます」と伝えているので、お客さまは食事に行かれているかもしれません。飛行機をすぐに飛ばすことができないということは、どういう問題が発生しているのか。不要な遅れが生じているわけなんですよね。
土肥: む、難しいですね。
小久保: 定刻の時間に飛ばすために、20分以内に決断しなければいけないケースがあります。その時間内に、不具合の原因が分からない場合があるので、例えばコンピュータを変えてみる。変えたらテストをしなければいけないので、時間がかかる。テストが終わるまで40分ほどかかって、その結果「飛べる確率は50%」であれば、飛行機を変えたほうがいい。でも、該当する飛行機がいつもあるとは限りません。
当社は予備機を用意していますが、いつも全ての機種があるわけではありません。では、違う機種にしたらどういった問題が発生するのか。例えば、ボーイング767だったところに、777が入ってくると、パイロットを変えなければいけないんですよ。パイロットというのは、資格を持つ機種しか操縦できませんから。
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