ところが、ここで注目すべきマーケットががらりと変わる。「ベルリンの壁」崩壊を機に(関連記事)旧東欧圏が、高い教育、安い人件費、安い地価を持つ「生産地」として急浮上し、新時代の「欧州の工場」として機能した結果、当該区域の国民所得が急増してマーケットとしての魅力が俄然強くなる。北米の時代が終わり、壁の向こう側に現れた旧東欧マーケットの争奪戦が始まり、「ボーダレス」という言葉が叫ばれた。ここで地の利を生かして成長したのがフォルクスワーゲンだ。
次に頭角を現したのは中国だ。2000年ごろにモータリゼーションの黎明期を迎えた中国はたった15年の間に販売台数2300万台という巨大マーケットに成長した。世界の新車販売台数が約1億台だから、ほぼ4分の1は中国ということになる。
中国マーケットでフォルクスワーゲンが幸運だったのは、まだ中国経済が注目を浴びる前から、既に欧州では型遅れになっていた「サンタナ」をノックダウン生産し、地場を築いていたことだ。この足がかりがあったからこそ、ギリシャを中心とした欧州の経済危機やウクライナの問題で欧州市場が冷え込んだときに、即時中国重視に方針転換できた。
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