日本では今、エネルギーに関する人々の関心がこれまでになく高まっている。その背景の1つは、世界的な気候変動への対策としてCO2(二酸化炭素)排出削減への要求が非常に強くなっており、代替エネルギーがこの問題の解決への1つの大きな糸口となるためである。また、震災に端を発する原子力発電所の安全性への問題が人々にエネルギーを考えさせるきっかけとなり、非常に関心が高まっていることもある。
日本国内では、これらを背景に、政府のエネルギー政策も大きな転換点を迎えている。国際的には2030年に13年度比26%の温室効果ガスの削減を公言している。この目標の是非は別として、公言している以上、国を挙げて取り組み、結果を出す必要がある。
国内に向けては2030年度の望ましい電源構成を示す「電源のベストミックス」が2015年7月に決定された。原発による発電の縮小を補うため、特に再生可能エネルギーの役割が高まっているが、安定的な供給にはまだ高いハードルがあり、どのように推進していくのか、そのためにどういう社会を作っていくべきかについてさまざまな議論がなされている。税制面からも、炭素税などが以前から検討されているが、経済成長とのバランスが難しい問題である。
エネルギー政策のもう1つ大きなインパクトとして、2016年4月に電力小売りの全面自由化が決まり、都市ガスの自由化もスケジュール化されたことが挙げられる。
こうした社会的な背景と、技術的なイノベーションもあり、エネルギーにかかわるトレンドは単にエネルギー業界のみにとどまらず、製造、流通、IT、金融、消費財など、幅広い分野に大きな影響を及ぼし得る(図表1参照)。本稿では多くの産業にわたってエネルギーにかかわるさまざまな状況が世界規模で変化していることについて紹介し、各産業での変革のレバー(梃)の可能性について論じる。
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