おでんの「大根」が一番おいしいのは? ローソンがとにかく面白い新連載・ノッている会社は、ここまでやっている!(5/6 ページ)

» 2015年12月11日 08時00分 公開
[上阪徹ITmedia]

食品製造の常識を打ち破る発想

 コンビニで売られている商品といえば、今なお体によくないイメージで捉える人がいる。しかし、もう10年以上も前から、例えばお弁当には保存料も合成着色料も使われていない。全国で1日1000万人もの顧客が訪れるのが、ローソン。ちょっと考えれば分かるが、おかしなものを出せるわけがない。そしてローソンはすでに、さらにその一歩先に踏み出していた。健康という大きなトレンドへの取り組みだ。

 2013年秋、ローソンは会社のスローガンを『マチのほっとステーション』から『マチの健康ステーション』へと変えた。これこそ、ローソンは何を目指すのか、という宣言だった。2013年時点で、すでに600億円規模になっていた健康関連商品を、中期計画で3000億円と5倍にする計画を立てている。

 例えば、2015年3月まで「ピュアシリーズ」として展開されていたのが、添加物を使わない商品のシリーズ。商品は多岐にわたった。生チョコレート、ショートケーキ、プリン、メロンパン……。本当に添加物を使わなかったが、実はこれは簡単なことではなかった。というのも、商品を作るには、いろいろなメーカーがすでに加工した原材料も使うからだ。そこに添加物が入っていたら、無添加とはうたえない。「添加物を使わない」ことは、食品製造の常識を打ち破る発想だった。それでもローソンは諦めなかった。

 クリームチーズなら、乳化剤を使用していないものを、デンマークまで行って調達した。まったくのゼロベースから、添加物を使用しない商品づくりに挑んだのだ。こうなると、裏面表示が変わる。原材料表示が少なくなるのだ。これに反応する顧客が現れ始める。健康に敏感な40〜50代の女性、さらには小さな子ども連れの主婦たち。かつてはコンビニを使わなかった顧客が、うわさを聞きつけてローソンにやって来るようになった。

 現在は「ピュアシリーズ」の名称はつけておらず、普通の商品の中でこの取り組みを広げている。これはコンビニでは珍しい。商品パッケージに「イーストフード不使用」「人工甘味料不使用」などと記載されているので確認してみてほしい。

 そしてローソンの健康関連で大ヒットしている商品といえば、糖尿病患者や糖質を気にする人のために開発された「ブランパン」シリーズがある。低糖質パンといえば「おいしくない」というイメージが強く持たれていた中、製粉メーカーと共同開発で、糖質は低いけれどおいしい、というかつてなかったパンを作った。ローソンにしか売っていないため、これを目当てに毎日、ローソンに来ている顧客も少なくない。

 今では、ラインアップも大きく拡大。ダイエットや健康を考える人にも、高く支持される商品になっている。実は取材で興味深い話を聞いた。おにぎりの開発担当者は、十数年にわたって1日に50個のおにぎりを試食する生活を続けていたという。さすがにこれだけの量を食べていると、血糖値も上がり、太ってしまった。ところが、ブランパンを食べ始めると、効果はてきめん。体重は8キロも落ちたそうである。

 これ以外にも、コンビニのオリジナル商品としては初めてトクホ(特定保健用食品)を取得した「食物繊維入りそば」や塩分控えめのおにぎりなどもある。先に紹介したカット野菜も健康商品の位置付けで、低カロリー、添加物削減、減塩、腸内環境整備といったキーワードの商品群を追求している。

糖質を気にする人のために開発された「ブランパン」

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