鉄道趣味系クラウドファンディング、成功の決め手は?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)

» 2015年12月11日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


「711系電車」に会ってきた

 11月某日、夜行日帰りで北海道を旅した。目的は自分の名前を見届けるためだ。岩見沢駅でレンタカーを借りて約15分。人家も減り、広々とした耕作地域の中にレストラン「大地のテラス」がある。その敷地の外れに赤い電車が2台、保存展示されていた。本コラムの記念すべき第1回「クラウドファンディングで鉄道遺産を守れ!」で紹介した711系電車だ。

 711系電車保存プロジェクト「47年間愛されて引退した北海道初の電車『赤電』を残したい!」(関連リンク)は、2015年4月上旬にスタートし、わずか3日間で目標金額の234万円を達成した。私はプロジェクト立ち上げを知ってすぐに参加し、応援しようと思って記事を書いたけれど、書いている最中に成立してしまい、掲載直前に文章の手直しが必要だった。

 その思い出の711系電車が、私の目の前に鎮座している。わずかな金額だけど自分もかかわった。実際に見ると達成感がある。感動したら腹が減った。大地のテラスはブラジル式の串焼肉食べ放題「シュラスコ」の店だ。共に訪れた友人と肉をかじりサラダバーを平らげて、改めて電車に近づく。2両のうち1両の乗降扉が開いており、車内を見学できた。ファンド参加者の名前が白いプレートに掲載されていた。私の名前があった。「ナマエヨシ」と電車の運転士さん風に指差喚呼。故郷に帰ってきたような気がした。

岩見沢市郊外で保存された711系電車 岩見沢市郊外で保存された711系電車
清掃が行き届き、車内も清潔 清掃が行き届き、車内も清潔
クラウドファンド参加者の名前が並ぶ。光栄の至り クラウドファンド参加者の名前が並ぶ。光栄の至り
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