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» 2015年12月14日 07時07分 UPDATE

年間1億本:開発者の「不満」が生んだ滑らかな書き味――「ジェットストリーム」が爆売れ (1/3)

三菱鉛筆の油性ボールペン「ジェットストリーム」が快進撃を続けている。滑らかな書き味が消費者に支持され、世界60カ国で年間1億本を販売。大ヒットを呼び込んだのは、油性ペン嫌いを自認する、ある開発者の不満だった。

[産経新聞]
産経新聞

 三菱鉛筆の油性ボールペン「ジェットストリーム(※)」が快進撃を続けている。滑らかな書き味が消費者に支持され、世界60カ国で年間1億本を販売。近年は高級版も加え、“プチぜいたく”需要も巧みに取り込んでいる。大ヒットを呼び込んだのは、油性ペン嫌いを自認する、ある開発者の不満だった。

(※)ジェットストリーム 三菱鉛筆が海外で平成15年、国内で18年に発売した油性ボールペン。「クセになる、滑らかな書き味」をキャッチコピーに、同社の一般的な油性ボールペンに比べて摩擦を3〜5割減らし、「滑らかボールペン」と呼ぶ新ジャンルを開拓した。書く力の強さに関係なく安定した線を描けるほか、インクが乾きやすく手が汚れにくいのも特徴。現在は多色タイプや高級タイプなど、130種類以上を取りそろえている。価格は150〜5000円(税別)。

常識外の読みが的中

 ジェットストリームは国内外で高い人気を誇り、特に文字の画数が多い漢字文化圏には熱烈なファンが存在する。その開発がスタートしたのは平成12年。横浜研究開発センターの開発者だった市川秀寿氏が、油性ペンの担当に着任したのが始まりだった。

 「書いた後もインクが乾かず手が汚れやすい」「書くのに力が要る」

 油性ペンは筆跡がにじみにくいなどの点で優れる半面、インクの性質上、こうした欠点がつきまとう。力を入れずに書ける水性ペンを好んでいた市川氏は、自力で欠点を解消しようと思い立った。

 担当になって日が浅く、油性の知識は皆無。手探り状態で50〜60種類の溶剤を試し、何とかこれはというものにたどり着いた。「当時はどの会社も同じ溶剤を使っていた。『それをやめればいい』と簡単に考えたのがかえって良かった」と振り返る。

 ただ、今度は発色を良くするために染料も変える必要が出てきた。そこで染料ではなく、溶剤に溶けずに小さな粒として残る顔料を混ぜることにした。油性ペンの担当になる前はスタンプ台を開発していた。一般的なスタンプ台は、インクに顔料を使う。三菱鉛筆にはもともと顔料を溶剤に均一に分散させ、安定させるノウハウがある。ならば油性ペンにも生かせばいい。常識外に近い発想だが、読みはズバリ的中した。

ks_pen01.jpg 2013年10月に発売した「ジェットストリーム プライム」。なめらかな書き味に加えて高級感も打ち出した。
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