「イケメンや美人は出世しやすい」は本当か世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2015年12月17日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

イケメンはキャリアを妨害される可能性

 これまでの定説に一石を投じるようなそんな結果を発表したUCLは、米メリーランド大学などと共同で研究を行った。そこで明らかになったのは、男性の上司は、イケメンを仕事での“脅威”と感じるということだった。そのため、上司から自分の能力を発揮できるような役割を与えられないという。魅力的であることは、出世の手助けになるのではなく、足かせになると結論づけている。

 英テレグラフ紙は「ルックスの良い男性はキャリアを妨害される可能性がある」とこの研究を紹介、また「ハンサムであることが出世の妨げになる」と米ニューヨーク・デイリーニューズ紙は伝えている。研究結果をまとめた論文からの抜粋を紹介したい。

 魅力的な人々が、職場を含む社会生活のさまざまな領域で良い扱いを受けたり、良い結果を得たりすることはほぼ自明の理である。“魅力差別”、つまり見た目で個人が違った扱いを受けることは現代の職場環境にまん延している。“魅力差別”は特に、「仕事の穴埋のための人選を目的とした」選択決定時に顕著だ。これは、選択決定において、決定権を持つ人が初めて候補者に会う時の印象形成において、その人の魅力が大きな影響を与えるからだ。

 かなり堅苦しい言い方だが、研究を真剣にまとめるとどうしてもこういう言い回しになってしまうのだろう。さらにこう続く。

 何十年にもわたる過去の研究から、採用時において能力や経歴が同じだとしても、一般的に魅力的な候補者はそうではない候補者よりも好まれる。

 その上で、身体的な魅力は財産だと主張する。おそらくこれは事実であり、これまでもこれを示す研究はあちこちで行われてきている。だがこの論文はその定説に切り込む。そして、こう“宣戦布告”するのである。

 私たちの研究はこの見方に疑問を投げかけている。決定権を持つ人が候補者と同性の場合、魅力的な候補者たちは差別されるのである。この発見は、決定権をもった人が人選を行う際に、魅力的な同性の候補者を大きな脅威だと受け止めるからだ。これは同性内競争の進化を見通して分かったことである。

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