自治体のキャッチコピーは、なぜ“メルヘン化”してしまうのかこだわりバカ(3/5 ページ)

» 2015年12月22日 08時00分 公開
[川上徹也ITmedia]

とっても恥ずかしい自治体メルヘンコピー

 メルヘンコピーとはどういったものか? 例えば私は、神奈川県藤沢市に住んでいる。藤沢市は鎌倉市と茅ヶ崎市にはさまれた江ノ島があるいわゆる湘南の中心部にある人口40万あまりの都市だ。2014年末、藤沢市の新しいキャッチコピーが発表された。それが……

“キュン”とするまち。藤沢

神奈川県藤沢市のメルヘンコピー

 というものだった。これはかなりメルヘン度が高い。“キュン”って。私は、そのキャッチコピーを見て、思わず藤沢市に住んでいるのが恥ずかしくて「キュン死(死語?)」しそうになったくらいだ(人様が決めたり書いたりするのを批判するのはよくないとは分かっていつつも、自分の住んでいる街だから正直な意見を言わせてもらった。関係者の皆さん、ゴメンナサイ)。

 このようなメルヘンコピーは、全国の自治体で散見されるが、調査したところ、北海道の自治体にずば抜けて多いことが判明した。以下、いくつかの例をあげてみる。

「まんまるはーと 月形町」 (月形町)

「いきいきと里住夢(リズム)あふれるまち遠別町」(遠別町)

「ポテト夢タウン・あっさぶ」(厚沢部町)

「心と心をつなぐハートコミュニケーションはぼろ」(羽幌町)

「やさしさと躍動のふれ愛タウンとよころ」(豊頃町)

「きらめく海・駒ヶ岳(やま)・うるおいの湯郷(ユートピア)」(鹿部町)

「萌える海と大地さわやか交流郷」(標津町)

「夢いっぱい 北の大地(まち)・びふか」(美深町)

「星・雪・きらめき 緑の里なよろ」(名寄市)

「もっと せいかつ う〜んと しあわせ」(妹背牛町)

 うーん、確かにメルヘン度が高い。漢字にキラキラネーム的なルビがふられているのが多いのも特徴だ。そして地名はひらがなにするのもお約束だ。最後の妹背牛(もせうし)町のキャッチコピーは、各文節の冒頭の単語をむすぶと、「も・せ・う・し」となるらしい。きゃ――。妹背牛町、行ったことないけど、きっととても素敵な町だと思う。おそらく。たぶん。でも……。

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