ゲームづくりをめぐって取材で私が強烈に感じたのは、ユーザーに無理をさせない、というスタンスだった。一部のゲームタイトルを除けば、1日に進むことができる話数が限られている。ほどんどが全20話のうち、1日1話しか進むことができないのだ。しかも、次に進むには24時間以降でなければならないようになっている。
ゲームを販売する側からすれば、早くゲームをコンプリートしてもらって、次々にゲームを買ってもらったほうが儲(もう)かる。しかし、ボルテージは、そういう発想をしないのだ。あえて時間制限を作り、なかなか前に進めないようにしている。だから、ユーザーはゲームに疲弊しない。無理のない範囲で楽しめる。長い時間をかけ、たくさんのゲームタイトルを楽しんでもらえる可能性が出てくる。これが継続成長の要因のひとつなのである。
だが、別の側面からも、これはうまいなあ、と思った。例えば旅行も、「あと1日いたい」と思って帰るくらいが、また行きたくなるもの。もうちょっとやりたい、くらいで強制的に終わらされると、余韻が残る。しかも24時間経たないと前には進めない、というのが、またうまい。じらされたら、気持ちがより強くなっていくのが人間なのだ。
対して、とにかく「売らんかな」の姿勢のゲームはどうなったか。いつまででも、どこまででも、いくらかけてでも、前に進ませようとする。そういうゲームがどういう末路をたどったか。多くの人がご存じだと思う。
実際の女性ユーザーの声をご紹介しよう。
「社会に出たけれど、彼氏もいないし、何の楽しみもなくて。そんなときにゲームのストアのランキングに面白そうなタイトルがあったんです。生身の彼氏がいないなら、現実逃避でどうかな、と(笑)。それからはほとんど毎日、楽しんでいます」(20代)
「(SPや芸能人など)設定には夢があるけど、ストーリーや恋の駆け引きにはリアリティがあるんですよ。そこが楽しいんです」(30代)
「世界観がしっかりしているし、現実と離れすぎていない。親近感が湧くし、リアルを臭わせる部分もちょこっとあって。ストーリー設定も、深いというか、厚みがある気がします。だから、違和感なく楽しめる。とにかく続きが気になる」(30代)
ただの恋愛ゲームのようなものなら、ここまで長くは楽しんでいないという声が多かった。特異な舞台設定やリアリティのあるドラマ性がやはり魅力なのだ。
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