このように議論が白熱する宇宙資源探査および利用だが、NASA(米航空宇宙局)のエームズ研究所やケネディ宇宙センターの研究者らがまとめた“Lunar COTS: An Economical and Sustainable Approach to Reaching Mars”というレポートでも、将来的な宇宙資源利用に触れられている。
COTSプログラムはISS(国際宇宙ステーション)への物資輸送などで成功を収めている民間企業参入を促すものだが、本レポートではNASAが火星探査を継続的に行っていくための中継地点として月を視野に入れており、COTSプログラムを月に適用することで、民間企業参入と月開発を加速することがNASAにとってもメリットがあると言及している。
さらに、将来的にはLunar ISRU (In-Situ Resource Utilization) Production and Delivery ServicesとしてNASAが火星に向かうために、宇宙空間においてH2OもしくはLOX/LH2などの燃料を調達・購入する長期契約もアイデアとして記載されている。
また日本においても、月面無人探査レース「Google Lunar XPRIZE」に参戦するチームハクト(関連記事)の運営母体であるispace(代表取締役:袴田武史氏)が宇宙資源開発を長期ビジョンとして掲げている。さまざまな形で動き始めた宇宙資源探査およびその利用が、どのように議論が進んでいくのか注視していきたい。
石田 真康(MASAYASU ISHIDA)
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル
ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、10年超のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。民間宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2015」企画委員会代表。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。主要メディアへの執筆のほか、講演・セミナー多数。
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