ベッキーの謝罪会見は、なぜ「質問禁止」だったのかスピン経済の歩き方(2/6 ページ)

» 2016年01月12日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

「質問禁止」という戦い方を選んだ理由

 そういう前例もあるなかで、なぜあえて「質問禁止」という戦い方を選んだのか。

 所属事務所サンミュージックや広告代理店という「ベッキーの周りの大人」が頭脳をフル回転させて出した結論だ。それなりの「狙い」があったとみるべきだろう。

 それを考えるうえで参考になるのが今から18年前、女優の三田佳子さんの未成年だった次男が自宅で、覚せい剤所持容疑で逮捕された事件だ。

 覚えている方も多いと思うが、三田さんはベッキー以上の「CMの女王」だった。「日本のお母さん」のイメージでライオンの「スーパートップ」、味の素「ほんだし」など多くの一流企業のCMに出演。加えて、多くのドラマにひっぱりだこで「国民的女優」ともいわれていた。そんな三田さんのイメージキャラクターとしての価値をぶち壊しにしたのが、息子さんの逮捕だった。

 今回の「ベッキーショック」以上の大騒ぎのなか、三田さんはホテルで謝罪会見を開いた。

 100人近い報道陣に囲まれて「お騒がせして申し訳ない」と頭を下げると、「一生をかけて原因究明をする」と表明。弁護士同席のもとでメディアからの質問を受けた。ここまで聞くと、失敗を潔く認めていいじゃないかと思うかもしれないが、この会見からほどなく、33年間契約をしてきた「土佐鶴」をはじめ放映中だった6社のCMすべてから降板することになる。

 三田さんサイドの意向ということだが、そうせざるえなかったのは、メディアからの質問で「失言」を誘導されてしまったことが大きい。「全国の親御さんへ一言」という質問を受け、三田さんはこんなことを言った。

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