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» 2016年01月18日 07時00分 UPDATE

世界で累計1000万部突破:中国で「稲盛和夫」“爆読み”のワケ (1/3)

京セラ創業者で名誉会長の稲盛和夫氏の著書が平成27年8月末、世界累計発行部数1000万部を突破した。経営論にとどまらず、仕事を通じた生き方を説く言葉が若い世代や女性もひきつけ、読者層を広げる。

[産経新聞]
産経新聞

 京セラ創業者で名誉会長の稲盛和夫氏(83)の著書が平成27年8月末、世界累計発行部数1000万部を突破した。平成元(1989)年に「心を高める、経営を伸ばす」を発行して以降、これまで世に出た著書は、共著も含め40作以上。経営論にとどまらず、仕事を通じた生き方を説く言葉が若い世代や女性もひきつけ、読者層を広げる。海外でも19カ国語に翻訳され、中国では“爆読み”の対象となっている。利益追求中心の欧米型とは違う稲盛流の「日本型経営」が見直されるきっかけにもなっているようだ。(牛島要平)

断トツ人気「生き方」

 多くの通勤・通学客でにぎわう大阪市北区の紀伊國屋書店梅田本店。ビジネス書籍のコーナーには多くの経営者の著書が並ぶ。「経営の神様」と呼ばれるパナソニック創業者、松下幸之助氏と並び、作品の多さで双璧をなすが稲盛氏だ。

 同書店によると、全国の店舗で平成27年8〜10月の売れ筋をみると、27年8月に発行されたばかりのカジュアル衣料品店「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長の「経営者になるためのノート」がヒットしている。その一方で、稲盛氏の「生き方」(16年発行)と、幸之助氏の「道をひらく」(昭和43=1968=年発行)が根強い人気を保っているという。

 「生き方」は経営者としての道のりを振り返りながら、「よい思いを描く人にはよい人生が開けてくる」「利他に徹すれば視野が広がる」などの独自の信念を訴える。発行元のサンマーク出版によると平成27年12月現在で国内で累計120万部を超え、稲盛氏の著書で断トツのベストセラーとなっている。

 一方、発行から半世紀近くがたつ幸之助氏の「道をひらく」は国内で累計約520万部を発行し、今も多くの人の人生のバイブルとして親しまれている。稲盛氏の「生きる」の売れ行きはそれに匹敵する勢いだ。

 稲盛氏の著書は平成元年の「心を高める、経営を伸ばす」からはじまるが、「生き方」は稲盛ファンを飛躍的に増やした。京セラなどにはそれまで50代を中心に男性会社員からの手紙が多く寄せられたが、「生き方」以降は若い世代や女性からのファンレターが増えてきたという。

 京セラで社内教育を担当する粕谷昌志フィロソフィ教育推進部長は「生き方というストレートなタイトルはだれにでも掲げられるものではなく、多くの人の心をとらえた」と指摘する。内容についても、「経営者の考えていることが、だれにでも当てはまる普遍的なものだった。そのことが共感を呼んだ」と話す。

 「生き方」が出版から10年以上たっても売れ行きが伸びていることについて、サンマーク出版で「生き方」を担当した斎藤竜哉氏は「企業の不適切会計や工事データの偽装が社会問題となり、人として正しいあり方が問い直されているからでは」と語る。

ks_book01.jpg 多くの言語に翻訳されている稲盛和夫氏の著書「生き方」。中央が日本語版
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