元ジュディマリのTAKUYAが目指す「アジアの音楽ハブ構想」アジアの玄関口・福岡のキーパーソン(2/3 ページ)

» 2016年01月19日 07時30分 公開
[小松里紗ITmedia]

――今回は台湾のアーティストとの取り組みでしたが、アジアの音楽市場で目をつけている都市・国はどこですか。

TAKUYA: やはり莫大な人口という点で中国本土ですね。ただ、資本主義国ではない中国でいきなり何かを流行らせることはなかなか現実味がありません。それに、例えば、北京で作ったものが中国本土でヒットすることは少ないのです。

 一方で、中国の人たちは台湾のカルチャーに憧れのような感情はあるようで、台湾でヒットしたものが中国全土でヒットする可能性があります。中国に進出するためのエントランスが台湾ということを世界の人々は知っていますね。実際、台湾にはよく行きますが、びっくりするぐらい欧米からもミュージシャンが来ていますよ。

――このたびのスタジオ構想は、その流れの中に福岡が入っていくということでしょうか。

TAKUYA: そうです。今のタイミングでモダンなスタジオが福岡にできたら、やっぱり福岡だよね、という流れが、国内外ともにできると思います。海外のスタジオ代の相場も把握していますが、東京だと高いなという場合でも、福岡の相場で機材が良ければ人が集まる可能性は十分にあると思います。

――相場についてのお話がありましたが、アジア各国や東京のスタジオと比較して、福岡のスタジオはどのようなメリットがあるのでしょうか。

TAKUYA: (構想している)福岡のスタジオには、最高レベルの機材が入ります。ですので、スタジオ使用料の相場ではなく、スタジオを取り巻く環境の相場がポイントです。東京に住みながらよりも福岡に住みながらのほうが「音楽をしながら生活する」コストが格段に低いということが、メリットになるのです。

 もう1つの視点として、アジア全体から見て、日本はどんどん「安く」見えていると思います。皆さんも韓国やシンガポールなどのアジアの国に行って、それほど割安感を感じなくなってきているでしょう。一方で、アジアの国はからどんどん日本に観光客が訪れるようになりました、恐らく彼らにとって日本は割安感があるからです。

――アジアの他国では、この福岡のスタジオの競合になり得るハブ的なスタジオはありますか。

TAKUYA: 全てのスタジオを見学したわけではないので断言はできませんが、スタジオ機材などの設備でいえば、もっと多額の資金を投入しているところが中国などにもあるかもしれません。ただ、中国の最新鋭のスタジオを見た経験からすると、機材にお金をかけても、その機材を使えるエンジニアが足りていない。お金をかけて機材をそろえればいいというわけではないのです。音楽制作に対するノウハウが日本にはある。日本の強みはそこだと思います。

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