ニュース
» 2016年01月20日 06時53分 UPDATE

“3日天下”にならないように:「万年4位」の伊藤忠が最終利益でトップに、理由は? (1/4)

資源価格の一段安で三菱商事や三井物産が苦戦する中、2015年度の大手商社の最終利益で、伊藤忠商事が初の業界首位に立つ見通しになった。

[産経新聞]
産経新聞

 資源価格の一段安で三菱商事や三井物産が苦戦する中、2015年度の大手商社の最終利益で、伊藤忠商事が初の業界首位に立つ見通しになった。三菱商事が15年維持してきた首位の座を明け渡すだけに、業界に衝撃が走っている。「万年4位」だった伊藤忠が業界首位に躍り出ることになったのはなぜなのか。

原点に返る

 東京青山の本社ビル21階の岡藤正広社長の応接室。「非資源NO1商社を目指して」「2強時代」など墨文字で書かれたいくつかの標語の額縁が外された。唯一「か・け・ふ」だけが残されている。かけふとは「稼ぐ」「削る」「防ぐ」を意味する商売の原理・原則とする標語で、「今こそ暫定1位に浮かれずに原点に返る」との岡藤流哲学の表れとみる向きは多い。

 岡藤氏が社長に就任した2010年は、バブル経済の後遺症がまだ尾を引き、財務体質の改善を優先する「守り」の経営だった。

 岡藤氏は就任後「攻め」にカジを切り、会議や書類を減らして営業シフト、現場主義を進めるとともに、非資源事業の強化に動いた。まずは、分かりやすい目標として業界ですぐ上にいる3位の住友商事を抜くことを社内で掲げた。実際に2011年度に最終利益で初の3000億円台に乗せ9年ぶりに住友商事を抜き3位を奪還した。

 その次に掲げたのは「非資源NO1商社」だった。岡藤社長は「資源投資は“麻薬”のようなもの」が持論だ。資源は掘れば枯渇し、拡張や追加の開発投資が欠かせない。つまり途中でやめられない宿命なのだ。

 岡藤社長は繊維ビジネス一筋という商社トップで異色経歴の持ち主。徹底して顧客のニーズに応え、ブランドビジネスで繊維ビジネスモデルを改革しただけに、資源ビジネスは異質に映った。過去の東亜石油への投資失敗もあり、「日本の国のためにと思って手掛ければえらいめに遭う」と考えていた。

 だが、社長就任後は空前の資源高ブーム。「今買わないと資源分野の将来もない」とのジレンマにもかられ、米シェールオイルなど資源への大型投資にも手を出し、案の定、減損計上の憂き目にもあった。

 だが、店じまいの判断も早かった。非資源への原点回帰と戒めの意味合いもあり、米シェールオイル権益はわずか1ドルで売却。2015年は新興国リスク回避でブラジル鉄鉱石事業ナミザも持ち分法適用から外した。

 「当社は(三菱商事などの)財閥とは資源の目利き力が違う」と、資源は強みのある石炭と鉄鉱石のみに集中し、非資源に大きくカジを切った。

ks_itou01.jpg
       1|2|3|4 次のページへ

copyright (c) 2016 Sankei Digital All rights reserved.

Loading

注目のテーマ